σ結合(読み)シグマケツゴウ

デジタル大辞泉 「σ結合」の意味・読み・例文・類語

シグマ‐けつごう〔‐ケツガフ〕【σ結合/シグマ結合】

共有結合形式の一。2個の原子の間の結合軸に結合電子分布している結合。このときの結合電子をσ電子、入っている軌道をσ軌道という。→πパイ結合

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「σ結合」の意味・わかりやすい解説

σ結合
しぐまけつごう
σ-bond

化学結合分子軌道理論から区別して表現した結合の分類の一つ。ほかにπ(パイ)結合、δ(デルタ)結合がある。化学結合は少なくとも二つの電子がその分布を重ね合わせて成立する。電子の重なり合いは、その結合軸からみて、どのような対称性をもつかを区別する。これを角運動量成分Λ(ラムダ)で表し、Λが0、1、2に対してσ、π、δと表す。結合に関与する電子が、s電子どうし、px電子(x軸が分子軸)どうしであるとき、または、s電子とpx電子、s電子とdz2z軸が分子軸)のような例がある。

[下沢 隆]


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化学辞典 第2版 「σ結合」の解説

σ結合
シグマケツゴウ
σ bond

2原子間に形成される単結合を軌道の対称性から名づけた名称.一般に,2原子間の結合が単結合である場合,その分子軌道関数の形は結合軸に対して対称となり,結合軸のまわりの角運動量成分は0になる.角運動量成分が0,1,…に対して,σ,π,…なる記号で分子軌道関数を表すから,この場合の分子軌道をσ軌道とよび,それに原子価電子が入って形成される結合をσ結合とよぶ.また,σ結合をつくっている電子をσ電子とよぶ.たとえば,エタンのC-C結合,C-H結合はともにσ結合であり,エテンのC=C結合はσ結合とπ結合1本ずつからなっている.

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改訂新版 世界大百科事典 「σ結合」の意味・わかりやすい解説

σ結合 (シグマけつごう)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「σ結合」の意味・わかりやすい解説

σ結合
シグマけつごう
σ-bond

σ 電子による共有結合。共有結合にあずかる電子には σ 電子と π 電子があり,σ 電子は結合軸のまわりに対称な電子軌道関数をもつ。そのため結合軸のまわりの回転が自由である。

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世界大百科事典(旧版)内のσ結合の言及

【化学結合】より

…このような軌道を混成軌道と呼び,今の場合はsp3軌道と記す(図3参照)。こうしてできた結合は結合軸のまわりに対称的になり,σ結合と呼ばれる。ベンゼンの場合は,s軌道と2個のp軌道から平面内に120度の角をなして伸びるsp2軌道を3個つくることができ,残ったp軌道はこの面に垂直方向に伸びることになり,おのおのに1個ずつの電子を収容する。…

※「σ結合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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