あらまし

精選版 日本国語大辞典 「あらまし」の意味・読み・例文・類語

あらまし

〘名〙
[一] 将来のことを、あれこれと思うこと。
予想予定予期。心あて。また、将来のことについての約束、示唆
山家集(12C後)下「待ちかねてひとりはふせどしきたへの枕ならぶるあらましぞする」
徒然草(1331頃)一八九「かねてのあらまし、〈略〉おのづからたがはぬ事もあれば」
② (副詞的に用いて) 予想として。かねてから。前もって。
※増鏡(1368‐76頃)一四「宮は先帝の御代りにも、いかで心の限り仕(つか)うまつらんと、あらましおぼされつるに」
[二] だいたいのところ。
事件などのだいたいの次第。概略
※康富記‐嘉吉三年(1443)四月三日「祥、詣清大外史之文亭。厩可立之由有荒猿(アラマシ)
浮世草子・好色一代男(1682)一「ちかぢか尋(たづね)て、無事のあらましをもきかせ申べし」
※いさなとり(1891)〈幸田露伴〉五「問はるるままに概略(アラマシ)を語れば」
② (副詞的に用い、「に」を伴うこともある) だいたい。おおよそ。また、いい加減。
義経記(室町中か)七「あらましに聞きし御姿の、様の変りたるやらん」
※浮世草子・世間胸算用(1692)五「既(すで)に其年の大晦日に、あらましに正月用意をして」
[語誌](二)の「あらまし」については、「粗(あら)まし」という語源を考える説もある。→「あらましごと(━事)」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「あらまし」の意味・読み・例文・類語

あらまし

[名]
事柄のだいたいのところ。概略。「事件のあらましを話す」
前もって先のことをあれこれ考えること。予想。予定。
「かねての―みなたがひゆくかと思ふに」〈徒然・一八九〉
[副]
おおかた。おおよそ。「普請あらまし出来上がった」
前もって。かねてから。
「心の限り仕うまつらむと、―おぼされつるに」〈増鏡・春の別れ〉
[類語]概略概要大要大筋概括粗筋およそ大枠枠組みアウトラインフレーム骨格大局大綱骨組み目安大意大略大概概況あらかた輪郭アウトライン縮図レジュメ抄録摘要提要梗概粗粗あらあら粗らかざっとおおよそおおむね大ざっぱおおまか粗い粗っぽい粗削り粗放粗略粗雑粗笨そほん雑駁ざっぱく大つかみ丼勘定ラフ

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