おざる

精選版 日本国語大辞典 「おざる」の意味・読み・例文・類語

おざ・る

〘自ラ四〙 (「ござる」の変化したものという。近世の地方語)
[一] 「行く」「来る」「居る」「ある」の意の敬語
① 「行く」「来る」「居る」の意の尊敬語。いらっしゃる。おいでになる。
滑稽本東海道中膝栗毛(1802‐09)二「てうじやへばっかしおざるから、とこなつさんが腹アつったつも」
② 「ある」の意の丁寧語。ございます。
※俳諧・犬子集(1633)一一「秋の夕の蚊のしんきさよ ていとこふとおざらぬ文は露泪〈貞徳〉」
[二] (多く「おざります」「おざりやんす」「おざり申す」の形で) 補助動詞として丁寧の意を表わす。(で)ございます。
※滑稽本・田舎草紙(1804)三「『慮外ながら、寺岡平へもんめでおざり申す』〈略〉『そんでおざり申す』」
[補注](1)「おんざる」となることがある。「滑・東海道中膝栗毛‐初」に「ハイハイこれでおんざりますか」の例がある。
(2)「おざる」の打消「おざらない」が「おざんない」となる場合もある。→おざんない

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「おざる」の意味・読み・例文・類語

おざ・る

[動ラ四]《「ござる」の音変化という》
来る」「行く」の尊敬語。
丁字屋ちゃうじやへばっかし―・るから」〈滑・膝栗毛・二〉
ある」の丁寧語。
「ちとおねがひが―・ります」〈滑・膝栗毛・四〉
(補助動詞)「ある」の丁寧語。…でございます。
「ありがたう―・りいす」〈洒・契情実之巻〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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