デジタル大辞泉
「きと」の意味・読み・例文・類語
き‐と
[副]
1 動作が瞬間的に行われるさま。急に。とっさに。
「御輿を寄せ給ふに、このかぐや姫―影になりぬ」〈竹取〉
2 特に意図せずにある動作をするさま。思わず。ふと。
「―寝入りたりけるに」〈梁塵秘抄口伝・一〇〉
3 ゆるみなく、厳しく動作をするさま。きつく。しっかり。
「蛇を鷲爪を以てつかみて、―引きて踏まふれば」〈今昔・二九・三三〉
4 必ず。確かに。
「その鳥―参らせよ」〈弁内侍日記〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
き‐と
① 動作が瞬間的に集中して行なわれるさま。すばやく。さっと。
※竹取(9C末‐10C初)「率ておはしまさん人とて御輿(こし)を寄せ給ふに此のかぐや姫きと影に成りぬ」
② そうしようとする意図なしに、ある状態に入る、また、ある動作を始めるさま。ふと。ちょっと。
※
古本説話集(1130頃か)六五「三日といふひるつかた、きとまどろませ給ともなきに」
③ 動作、状態などが、確固としていてゆるみのないさま。しっかりと。きっぱりと。
※枕(10C終)六三「
烏帽子の緒きとつよげに結ひ入れて」
④ 自分の
意志、意図が確固としているさま。必ず。是が非でも。
※
平家(13C前)三「申すべき事あり。きと立ち寄り給へ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報