デジタル大辞泉
「せば」の意味・読み・例文・類語
せ‐ば
[連語]《過去の助動詞「き」の未然形+接続助詞「ば」》現実に起こらなかったことを仮定的に推量する。もし…たなら。
「思ひつつぬればや人の見えつらむ夢と知り―さめざらましを」〈古今・恋二〉
[補説]「せば」は主として上代・中古の和歌に用いられ、多くは下に推量の助動詞「まし」が呼応する。「せ」をサ変動詞「す」の未然形の特別な用法とする説、また、「せば」を助詞とする説もある。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
せ‐ば
〘
連語〙 (過去の助動詞「き」の未然形「せ」に接続助詞「ば」の付いたもの) 現実に反する事態を
仮定条件として表わす。多く推量の助動詞「まし」と呼応して用いられる。
※
古事記(712)中・
歌謡「一つ松 人にあり勢婆
(セバ) 太刀佩
(は)けましを 衣
(きぬ)着せましを 一つ松 あせを」
※
平家(13C前)一二「かかるべしと知りたりせば、なにしか
身命を捨てけんと後悔すれどもかひぞなき」
[
補注]仮定条件が過去に限定されないところから「せ」をサ変動詞「す」の未然形とみる説や、「せば」を一語の助詞として取り扱う説もある。中古以降は、ラ変型の語に付く場合が圧倒的に多く、「まし」と呼応して、反実仮想を表わすのが普通だが、
中世にはいると、「む」などと呼応する例も現われる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報