たたり

精選版 日本国語大辞典 「たたり」の意味・読み・例文・類語

たたり【絡垜・

〘名〙 糸がもつれないように繰るための道具方形の台に柱を立てて、糸を引きかけるもの。〔肥前風土記(732‐739頃)〕
源氏(1001‐14頃)総角「結びあげたるたたりの、簾垂のつまより、几帳のほころびに、透きて見えければ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「たたり」の意味・わかりやすい解説

たたり
たたり / 祟り

神仏怨霊(おんりょう)などが人の行動に対して禍(わざわい)をもたらすことをいう。かかる禍をなす神をたたり神といっている。一般に神に対して不敬な行動をすればそのたたりを受けるものとされている。全国各地の山間などに、たたり地、くせ地といわれている場所があり、そこへ入るとたたりを受けるとされている。千葉県君津郡亀山村(現袖(そで)ヶ浦(うら)町)に、くせ山という地があり、それを所有すると死人が絶えないといって、買い手がつかないという。埼玉県や東京都の山間に、いはい山という地があり、その形が位牌(いはい)の形をしているので、その山を所有したり、木を切ったりすると家に死人が出るという。山のみでなく田んぼにもその例がある。信州(長野県)には、やんまい田、くせ田というのがあり、その田を所有したり、耕作したりすると家に死人が出るという。また山には山の神や天狗(てんぐ)の遊び場といわれる地があり、そこへ人が入るとたたりがあるとして警戒されている。

 また老樹がたたったという伝説が各地にある。本来、神が神木といわれる木に天降(あまくだ)るのがたたりであった。長野県上伊那(かみいな)郡南箕輪(みなみみのわ)村に霊松(れいしょう)といわれる老一本松がある。土地の人の話によると、昔この木を切ろうとして斧(おの)を当てたところ切り口から血が流れ出て、村に災害異変が起きたので、切るのを中止し、そこに小祠(しょうし)を建てて祀(まつ)ったという。岐阜県高山市中切(なかぎり)町に、おいの木という欅(けやき)の名木があり、それを切ろうとしたら血が流れ出たので中止してしまったという伝説が語られている。

 たたり神としてよく知られているのに金神(こんじん)がある。これは屋敷神として祀られているが、方位にやかましい神で、それを犯すとかならずたたりがあるとされている。また氏神など本宮に対してその御子神(みこがみ)を若宮として祀っているが、この若宮には人にたたる話が多い。水神のたたりもよくあり、これは子供に及ぶことがある。そのほか、ヘビキツネなど動物のたたりを受けることもあり、法師易者にみてもらったりすることがある。

[大藤時彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「たたり」の意味・わかりやすい解説

たたり

決められた禁忌を犯したため,神,仏その他の霊などから罰を受けること。「たたる」という語は,本来は神霊の示現すなわち神意が現れることを意味したが,その後それらの霊力の発動という意味に変り,その発動の結果が制裁的あるいは懲戒的なものとして現れた場合に「たたりがあった」という。「たたらぬ神なし」というように,神の属性としてとらえられていることが多く,神霊に対する人間の恐れが,たたりの観念を生み出したともいえる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「たたり」の解説

たたり

1963年製作のアメリカ映画。原題《The Haunting》。ロバート・ワイズ監督によるホラー映画。出演:ジュリー・ハリス、リチャード・ジョンソン、クレア・ブルーム、ラス・タンブリンほか。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android