とや(読み)トヤ

デジタル大辞泉 「とや」の意味・読み・例文・類語

と‐や

[連語]格助詞」+係助詞」》
文中用法。「と」の受ける内容に対する疑問を表す。…と…か。
「白たへの藤江の浦にいざりする海人あま―見らむ旅行く我を」〈・三六〇七〉
文末用法。
伝聞、あるいは不確かな断定を表す。…とかいうことだ。
「まだいと若うて、きさきのただ(=臣下ノ身分)におはしける時―」〈伊勢・六〉
相手に問いかけ、または問い返す意を表す。…というのか。
「なに母が首を打て―」〈伎・阿波のなると〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「とや」の意味・読み・例文・類語

と‐や

(格助詞「と」に係助詞「や」の付いたもの)
① 文中用法。「と」によって示される事柄に対する疑問を表わす。反語になる場合もある。…というのか。
万葉(8C後)一四・三四九五「巖(いはほ)ろのそひの若松限り登也(トヤ)君が来まさぬうらもとなくも」
② 文末用法。
(イ) (意味は①と同じ) …というのであろうか。…というのか。
※万葉(8C後)一〇・一九九〇「吾こそは憎くもあらめ吾がやどの花橘を見には来じ鳥屋(とや)
※虎明本狂言・継子(室町末‐近世初)「扨むすこがむなしくなりたるとや」
(ロ) 不確かな伝聞を表わす。…とかいうことだ。
※伊勢物語(10C前)六「まだいと若うて、后のただにおはしける時とや」
[補注]②(ロ)の「や」は副助詞的である。

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