アワ(粟)(読み)アワ(英語表記)Setaria italica

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アワ(粟)」の意味・わかりやすい解説

アワ(粟)
アワ
Setaria italica

イネ科一年草。茎の高さ 1.5m内外,互生する葉は幅の広い披針形で細かな鋸歯があり,質は厚い。夏から秋にかけて,長さ 10~20cmの尾状の穂をつけ,黄色,紫,褐色などに熟する。穀果球形で,穀類中最小。華北ではきわめて古くから栽培の歴史があり,中国東北や朝鮮半島北部でも古くから常食されてきた。エノコログサ原種と考えられる作物で,日本にはおそらく中国から渡来したと考えられる。米,ムギなどとともに五穀の一つとして古来重視され,「記紀」(→『古事記』『日本書紀』)「風土記」『万葉集』にその発生説話,栽培記などがある。持統7(693)年に栽培奨励の記事があり,奈良時代には,米の代わりに正税として納めることが認められた。平安時代には丹波国阿波国が主産地で,近世に入ると使途が広まり,飯,餅,飴,酒,薬用などに多用され,また干魃に強く,やせ地にもよく育って,しかも生育期間が短いところから,救荒作物としても利用された。品種もち,うるち,早稲,おくてなどがある。主食用としてはほとんど栽培されなくなったが,菓子類や焼酎泡盛,特に沖縄県鹿児島県有名)などの原料小鳥の餌などに用いられ,茎や葉は家畜飼料とされている。

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百科事典マイペディア 「アワ(粟)」の意味・わかりやすい解説

アワ(粟)【アワ】

東アジア原産の一年生雑穀類の一つ。高さ1〜2m。穂は黄熟し,たれ下がる。種実は球形で小さい。粒質からもち,うるち,収穫期から夏アワ,秋アワなどの品種に分ける。日本では第2次大戦後,生産が激減。たいて飯とするほか,餅(もち),菓子などの加工食品,鳥の飼料とする。
→関連項目エノコログサ

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