インコ(英語表記)Psittacidae; true parrots

改訂新版 世界大百科事典 「インコ」の意味・わかりやすい解説

インコ (鸚哥)
parakeet
lory

オウムオウム科のうち,羽冠をもつ大型のオウム類を除いた鳥の総称。オウム科約320種の大部分を占め,羽色が美しく,ものまねがじょうずな種が多く,古くから飼鳥としても親しまれている。

 大半の種はヒインコセイガイインコ亜科とインコ亜科に属し,ヒインコ亜科はヒメインコ類とセイガイインコ(ハケシタインコ)類に,インコ亜科はヒラオインコ類,ロウバシインコ類,サトウチョウ類,カクビインコ類,クサビオインコ類に分けられている。ヒメインコ類4種は,小型のずんぐりした体つきのインコで,ニューギニアとその周辺の島に分布する。セイガイインコ類は舌の先端がブラシ状になっていて,果汁の多い漿果(しようか)や花みつをなめとる。ニューギニア,オーストラリアを中心に約60種が生息し,羽色の美しいゴシキセイガイインコ,ヒインコ,ジャコウインコなどが代表的な種である。ヒラオインコ類は約30種がオーストラリアを中心に分布し,草原や疎林に群れをつくってすみ,草の種子と水を求めて長距離の移動を行う。飼鳥としても有名なセキセイインコオカメインコ,キキョウインコが代表種である。ロウバシインコ類約50種は,上くちばしが蠟膜で覆われていて,雌雄異色の種が多い。アフリカ,アジア,オーストラリアに分布し,雄が緑色でわきが赤く,雌は赤色で腹が紫青色をしていて,一時は雌雄が別種にされたことのあるオオハナインコ,飼鳥として親しまれているコザクラインコを含むボタンインコ類が代表的である。サトウチョウ類8種は,インドからフィリピンに分布する緑色の小型種で,眠るときにコウモリ類のように,枝に脚でぶら下がる習性があることで有名なインコである。カクビインコ類は短い角尾をもった中・大型のインコで,アフリカと中・南米に約60種が分布している。多くの種が飼鳥として知られていて,ものまねのじょうずなヨウムボウシインコ類,赤くて幅広い青色の縁をもつ扇状の冠羽があるヒオウギインコなどが含まれる。クサビオインコ類は長いくさび形をした尾をもち,約80種が中・南米に分布している。全長13cmの小型のルリハインコ類から尾が非常に長く全長約1mにも達する大型のコンゴウインコ類まで含んでいる。カロライナインコは北アメリカ産の唯一のインコで,北アメリカ東部まで分布していたが,数多くの個体が飼育用に捕獲されたり,あるいは射殺され,1914年に動物園で飼育されていた最後の1羽が死んで絶滅した。
オウム
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「インコ」の意味・わかりやすい解説

インコ
Psittacidae; true parrots

インコ目インコ科の鳥の総称。約 360種からなる。オウム科の鳥とは外見が似ていて,分類上では論争もあるが,明白に異なる点もある。コンゴウインコ類のように大型の仲間もいるが,オウム科の鳥と比べると小型の種が多く,頭上に冠羽(→羽冠)がない。頭蓋骨もやや異なり,上嘴(→)が可動する。鳴管が発達していて,人間の音声をまねることができる。また,知能も高く,ヨウムなどは単語をいくつか組み合わせて意図した文をつくることが知られている。羽毛には光を散乱させる構造が発達し,それにより鮮やかな色彩を放つ種が多い。ほとんどの種が熱帯亜熱帯に生息し,中央アメリカ南アメリカアフリカサハラ砂漠周辺,南アジアから東南アジアオーストラリアポリネシアと世界中に分布する。生息環境も熱帯雨林から砂漠地帯まで多様である。

インコ
Inco Ltd.

カナダの世界最大のニッケル精錬メーカー。1916年インターナショナル・ニッケルとして設立,その後国内関連企業の買収,合併を重ねた。1919年インターナショナル・ニッケル・カンパニー・オブ・カナダの略称 INCOを社名に使用し始める。国内に鉱山を複数もち,ニッケルでは世界市場の約 3割を支配,そのほか銅,貴金属,鉄,ニッケル合金も手がけた。1974年にはアメリカ合衆国の自動車用バッテリーのトップメーカー ESBを買収,1976年からインドネシアで進めていたニッケル開発プロジェクトが 1977年に生産を開始したほか,グアテマラに精錬工場を建設した。2006年ブラジルの企業ヴァーレに買収された。

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百科事典マイペディア 「インコ」の意味・わかりやすい解説

インコ

オウム科の鳥の一群の総称。種類が多い。一般には尾の長いものをインコ,短いものをオウムと呼ぶが厳密な分類ではなく,ボタンインコ類は尾が短い。温熱帯性で,ニューギニア,オーストラリア,アフリカ,中南米,東南アジアに分布。曲がった太いくちばしで果物や木の実を食べるが,花の蜜を好む種もある。木の穴を巣とし,白色球形の卵を産む。色彩が美しく,また人語をまねるものもあり,よく飼われる。セキセイインコ,コンゴウインコなどが有名。フクロウオウムおよびキジインコは国際保護鳥に指定されており,北米のカロライナインコは絶滅鳥として知られる。日本には分布しないが,野生化したワカケホンセイインコが東京南部で繁殖している。
→関連項目オウム

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世界大百科事典(旧版)内のインコの言及

【オウム(鸚鵡)】より

…オウム目オウム科Psittacidaeの鳥の総称。狭義のオウム類は,英名でcockatooと呼ばれる大型で冠羽をもった種を指し,一般にはオウム科の鳥をオウム・インコ類と呼ぶ。頭が大きく,くびと脚が短いずんぐりした体つきをしていて,くちばしは短くて太く,上くちばしが強く下方に曲がっている。…

※「インコ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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