インパクトローン(読み)いんぱくとろーん

精選版 日本国語大辞典 「インパクトローン」の意味・読み・例文・類語

インパクト‐ローン

〘名〙 (impact loan) 大規模な投資にともなう消費財需要増加というインフレへのインパクト衝撃)を避けるために、消費財輸入のための外貨を借り入れること。日本では使途を制限されない外貨の借り入れをいい、円資金調達意味をもっている。

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デジタル大辞泉 「インパクトローン」の意味・読み・例文・類語

インパクト‐ローン(impact loan)

アンタイドローン

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改訂新版 世界大百科事典 「インパクトローン」の意味・わかりやすい解説

インパクト・ローン
impact loan

本来の意味としては,特定の開発プロジェクトの実施に必要な借款(プロジェクト・ローン)に付随して,追加的に資材の輸入等に必要となる借款をいう。しかし日本では,民間企業(事業会社,商社,証券会社など)が日本の為替銀行や外国の銀行から借り入れる使途制限のない(あるいは緩やかな)外貨借款をいい,通常,使途が特定の財・サービスの購入などに限られる外貨借款(タイド・ローンtied loan)に対比される。日本の企業によるインパクト・ローンの借入れは,1980年12月に発効した外為法(外国為替及び外国貿易管理法)の改正によって,それまでの規制が大幅に緩和され,以降急増を示している。日本におけるインパクト・ローンは,借入期間が1年以内の短期インパクト・ローンと1年を超える(通常3~7年。5年ものが多い)中長期インパクト・ローンに分かれ,借入金利は米ドル,ドイツ・マルクなど借入通貨のユーロ市場金利に為替銀行の粗利益(スプレッドないしマージンと呼ばれる)を加えたものが一般的である。中長期インパクト・ローンの場合は変動金利方式が多い。インパクト・ローンの借入目的は,運転資金設備資金など事業資金の調達にあることはいうまでもないが,先物予約付きで為替リスクを回避しながら実効上低利の円資金を調達したり,あるいはすでに負っている外貨建債務にかかわる為替リスクをヘッジする(〈為替ヘッジ〉の項参照)ために行われることも多い。
借款
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ASCII.jpデジタル用語辞典 「インパクトローン」の解説

インパクトローン

使途を制限されない外貨の貸し入れ。企業が設備投資や輸入の決済など、さまざまな目的の支払いのために銀行から借り入れる資金のこと。外貨を人件費や設備投資などにあてることで、消費材への需要が増大し、インフレへと衝撃(インパクト)を与えることから、この名がつけられた。アンタイド(ひも無し)ローンと同義。逆に「ひも付き」は、タイドローンやプロジェクトローンといわれる。

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世界大百科事典(旧版)内のインパクトローンの言及

【借款】より

…これはいろいろ弊害があるため,途上国は〈ひもなし援助〉の増大を要求している。民間企業が外国の金融機関から自由に使用できる資金を借りる場合には,インパクト・ローンimpact loanといっている。 借款は,外貨(交換可能通貨)が供与されるのが一般的である。…

※「インパクトローン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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