オットーサイクル(読み)おっとーさいくる(英語表記)Otto cycle

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オットーサイクル」の意味・わかりやすい解説

オットーサイクル
おっとーさいくる
Otto cycle

ガソリン機関の熱効率や出力を考えるときの基本となるサイクル。等容サイクルともいう。ドイツ人オットーの製作した4サイクル式のガス機関がこのサイクルを実現したので、一般にこの名が使用されている。はこのサイクルの圧力pと比容積vとの関係を表したもので、断熱圧縮(1→2)、等温加熱(2→3)、断熱膨張(3→4)、等温冷却(4→1)のサイクルを繰り返す。ガソリン機関、軽油機関などの火花点火機関およびディーゼル機関などで実現している。実際には空気燃料混合ガスは2→3で燃焼し、この間で熱量Q1外部から供給され、4→1の間で熱量Q2が大気中に放出される。このサイクルでは圧縮比が大きいほど熱効率はよくなる。

[中山秀太郎]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「オットーサイクル」の解説

オットーサイクル
オットーサイクル
Otto cycle

内燃機関の基準サイクルであり,二つの等容変化と二つの等エントロピー変化からなる.シリンダー内に吸引された燃料と空気の混合気体は,断熱的に(等エントロピー)圧縮され,点火による燃焼 Q1 により圧力が上昇(等容圧縮)し,ピストンの移動により断熱的に(等エントロピー)膨張し,排気弁からの排気 Q2(等容放熱)によりもとの状態に戻る.オットーサイクルの理論的効率ηは,以下の式で与えられる.

ここで,γは内燃機関の圧縮比であり,κは断熱指数(定圧熱容量と定容熱容量の比)である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

法則の辞典 「オットーサイクル」の解説

オットーサイクル【Otto cycle】

通常ガソリンエンジン動作の最も理想化したモデル.図のように六つステップからなる.1:燃料および空気の注入,2:断熱圧縮,3:等積燃焼,4:断熱膨張,5:等積冷却,6:廃ガス放出である.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

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