サービス産業(読み)サービスサンギョウ(英語表記)service industries

デジタル大辞泉 「サービス産業」の意味・読み・例文・類語

サービス‐さんぎょう〔‐サンゲフ〕【サービス産業】

サービスを提供する産業。卸・小売業金融保険業不動産業、運輸・通信業、電気ガス・水道・熱供給業、医療福祉、飲食宿泊業、サービス業公務など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サービス産業」の意味・わかりやすい解説

サービス産業
さーびすさんぎょう
service industries

物財の生産活動を主とする産業に対して、サービスそのものの提供を主とする産業の総称。フィッシャーAllan George Barnard Fisher(1895―1976)、C・G・クラーク以来の3部門分割の産業分類に従えば、第三次産業がこれに該当する。ただし、第三次産業即サービス産業として、かならずしも統一的に取り扱われているわけではない。たとえば、日本の産業分類で第三次産業に分類される運輸・通信および電気・ガスなどの公益事業は、大規模な資本設備を伴う点で他と性格を異にしていることから、これらをサービス産業から除く場合がある。

 今日的な視点からすれば、サービス産業は、クラーク流の第一次、第二次産業に含まれない残余産業としてではなく、共通の固有な特質をもち、独自の発展可能性を有する産業分野として、積極的な意味合いからこれをとらえることができる。情報化時代の花形である情報処理サービスをはじめ、福祉・医療、教育、小売り、飲食サービスなど、国民生活に密着した分野での新たな展開がみられるなかで、雇用創出の場としての期待も大きい。

 日本の場合、全産業(分類不能の産業を除く)に占める第三次産業の就業者の割合は、1970年(昭和45)の46.6%から1995年(平成7)の62.2%、2006年(平成18)の67.7%へ、この間の名目産出額の割合は35.7%から52.9%、53.9%へ、それぞれ上昇している。このほか第二次産業においても、企業組織内でのサービス活動部門の比重が増大するなど、いわゆるサービス経済化が進行している。

[三浦正史]

 なお、2008年7月から総務省において「サービス産業動向調査」が実施されているが、そこでの調査対象は、日本標準産業分類(2007年改訂)の大分類のうちで、G(情報通信業)、H(運輸業、郵便業)、K(不動産業、物品賃貸業)、L(学術研究、専門・技術サービス業)、M(宿泊業、飲食サービス業)、N(生活関連サービス業、娯楽業)、O(教育、学習支援業)、P(医療、福祉)、R(他に分類されないサービス業)となっている。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サービス産業」の意味・わかりやすい解説

サービス産業
サービスさんぎょう
service industry

商業や金融,運輸通信,行政などのいわゆる第3次産業を総称していう場合と,より狭義にサービスを提供する産業 (たとえばホテル,自由業,理髪店など) に限定していう場合とがある。また狭義のサービス産業には個人サービス業と対事業所サービス業とがあり,前者は所得水準の向上に伴って増大し,家事を代行するサービス業や生活を豊かにするサービス業が中心となっている。後者は産業構造の高付加価値化につれて機能分化したものであり,ビルメンテナンス業や人材派遣業など事業活動の効率化に資する代行サービス業と投資顧問業やソフトウエア業など高度な専門性を有するサービス業などから構成されている。

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