セシウム137(読み)セシウムイチサンナナ

化学辞典 第2版 「セシウム137」の解説

セシウム137
セシウムイチサンナナ
caesium 137

セシウム放射性同位体の一つ.半減期30.0 y で最大エネルギー1.18 MeV(8%),0.52 MeV(92%)のβ線を伴って崩壊する核種で,その大部分137mBa となる.これは半減期2.55 min で0.6616 MeV のγ線を放出し,核異性体転移により安定な 137Ba となる.137Cs は原子炉での使用済み燃料の再処理の際に出る廃液中に大量に含まれ,しかも長寿命の放射性核種であることから,数百年貯蔵してもなお 90Sr などとともに放射能汚染を引き起こす可能性のある危険な核種である.このように大量に存在し,長期間安全に保存しなければならない 137Cs をγ線源,あるいは熱源として有効に利用する方法がある.137Cs は自然界には核爆発実験の結果として,わずかながら存在する.人体に摂取された場合には筋肉に集まる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セシウム137」の意味・わかりやすい解説

セシウム137
セシウムひゃくさんじゅうなな
cesium 137

セシウムの同位体で,ウラン核分裂から生まれ,放射性をもち,β線,γ線を放出し,半減期は 30年。体内ではカリウムと同様の動きをする。原子炉内核分裂生成物,核爆発放射性降下物主成分で,染色体遺伝子突然変異を起こすことがある。

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世界大百科事典(旧版)内のセシウム137の言及

【セシウム】より

…セシウム塩は人体に有害であり,カリウム塩の共存しない場合は植物に有毒である。原子炉内の核分裂生成物,核爆発実験の放射性降下物の主成分の一つである放射性核種セシウム137 137Csは,半減期30年のβ放射体で,体内に入るとカリウムと挙動をともにし,筋肉等に集まる。その体外への排出速度は大きいが,娘核の137mBa(半減期2.6分。…

※「セシウム137」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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