精選版 日本国語大辞典 「チェック」の意味・読み・例文・類語
チェック
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翻訳|check
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市松模様,格子縞,そのほか線が直角に交差した格子柄模様の総称。一般に先染めした経糸(たていと)と緯糸(よこいと)で織り出して作るが,プリントで表したものもある。種類は各種あるが,その名称は織物の由来からつけられたものが多い。おもなものにスコットランドのタータンやタータンをもたない新興土地所有者たちによってそれぞれの地方でつくられたディストリクト・チェックdistrict check,そのほか窓枠のように仕切られたウィンドー・ペーンwindow pane,ピン・チェックpin check(微塵(みじん)格子),ギンガム,ブロック・チェックblock check(市松格子)などがある。イギリスではとくにタータンのセット(格子柄)はプラッドplaidと呼び,ディストリクト・チェックなどのチェックと区別している。アメリカでは一般に柄の大きな格子をプラッド,小さな格子をチェックと呼んでいる。
スコットランドの領主制の確立とともに発展したクラン・タータンと異なり,これは1715年および45年のジャコバイト蜂起の失敗により,領主からの没収地やイングランドへ移住したクランたちが残していった土地に入った新興土地所有者たちによってデザインされた。彼らはイングランドやボーダー地区の貴族やジェントリーたちで,広大な土地を買い求め,領主の家系を示すクラン・タータンに代わるものとして,雇い人のために柄を創案した。ディストリクト・チェックはほとんどチェビオット種の羊毛を中心に使用し,綾織で製織後,縮絨を施す。多くの種類とそのバリエーションがあるが,おもなものに,シェパード・チェック,グレン・フェシー,グレン・アーカート,コイガッハ,ロバット,プリンス・オブ・ウェールズなどがある。
(1)シェパード・チェックshepherd check 18世紀後半,新興土地所有者がハイランドに牧羊を導入し,そのためにボーダー地区の羊飼いたちを雇用した。彼らが身にまとっていた4ヤード丈の伝統的な布は,黒糸6本・白糸6本の綾織によるチェック(いわゆる千鳥格子)で,そのためにこの名が由来した。なお,糸の太さや本数によって猟犬のきばが並んでいるように見えるハウンド・トゥース・チェックhound tooth checkや星が並ぶようなスター・チェックstar checkの名称もつけられている。(2)グレン・フェシーglen feshie シェパード・チェックに赤のオーバー・チェックを配したもので,19世紀前半にグレン・フェシー(フェシー急流の峡谷の意)の領地で考案された。(3)グレン・アーカートglen urquhat 一般に,グレン・チェックglen checkの名で知られる。白と黒で,シェパード・チェックとスタンダード柄が2インチずつ交互に繰り返されるものである。1840年代に,シーフィールド伯夫人が自分の領地グレン・アーカートのために考案したとされるが,実際は峡谷の村に住む婦人がデザインした。(4)コイガッハcoigach シェパード・チェックを基本とし,煉瓦色と黒のチェックが交互に配されたもの。1874年ころアメリカのあるガン・クラブでユニフォームとしてこの柄が採用されてから,ガン・クラブ・チェックとも呼ばれる。(5)ロバットlovat 比較的新しく作られたもので,1840年代にロバット卿がロッホ・モラール付近のつりがね草,桜草,シダ,樺の木肌などの色のハーモニーを採り入れてつくらせたものである。ライト・ブルー38,ブライト・イェロー16,クローム・イェロー22,ダーク・イェロー・ブラウン12,白12の割合による混織でロバット・ミクスチャーlovat mixtureまたはロバット・グリーンlovat greenとも呼ばれる。無地ではあるが,ディストリクト・チェックに入れられている。ロバット・ミクスチャーはロバット卿の臣下,雇人,家族のためのものであったが,やがてこの色調はスコットランドの織物の代表的な色となっている。(6)プリンス・オブ・ウェールズPrince of Wales 煉瓦色と白によるグレン・チェックを基礎とし,なかにスモール・グレン・チェックが使われ,灰青色のオーバー・チェックを配したもの。名の由来は,エドワード7世が皇太子(プリンス・オブ・ウェールズ)時代にディーサイドのアバゲルディ・ハウスでの狩猟用としてデザインしたことによる。
執筆者:山崎 宗城
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