ディールス(読み)でぃーるす(英語表記)Otto Paul Hermann Diels

デジタル大辞泉 「ディールス」の意味・読み・例文・類語

ディールス(Otto Paul Hermann Diels)

[1876~1954]ドイツの有機化学者。ディールス‐アルダー反応とよばれるジエン合成の方法を大成し、1950年、弟子アルダーとともにノーベル化学賞を受賞。

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精選版 日本国語大辞典 「ディールス」の意味・読み・例文・類語

ディールス

(Otto Paul Hermann Diels オットー=パウル=ヘルマン━) ドイツの有機化学者。ジエン合成(ディールス‐アルダー反応)や亜酸化炭素の発見、ステロイドの構造決定などの業績がある。一九五〇年ノーベル化学賞受賞。(一八七六‐一九五四

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ディールス」の意味・わかりやすい解説

ディールス
でぃーるす
Otto Paul Hermann Diels
(1876―1954)

ドイツの有機化学者。1月23日ハンブルクの生まれ。ベルリンで化学を学び学位取得(1899)、E・フィッシャーに学び、ベルリン大学準教授(1914)、キール大学教授(1916~1948)。おもな業績には以下のようなものがある。(1)マロン酸水素化による亜酸化炭素の発見とその性質について(1906)、(2)コレステリン胆汁酸など炭化水素セレンにより脱水素し、ディールスの炭化水素C18H16を導き(1935)、ステリンの炭素骨格の構造研究に貢献、(3)ディールス‐アルダー反応として知られるジエン合成(1928年より弟子アルダーとともに研究着手)の方法を大成し、付加反応の性質の解明や、環状化合物の合成や、共役二重結合を分析的に測定する方法に役だてた。これによって、各種の重合が行われ、化学工業や香料工業の発達が促され、1950年、アルダーとともにノーベル化学賞を受けた。3月7日、キールで没した。

[岩田敦子 2019年2月18日]

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化学辞典 第2版 「ディールス」の解説

ディールス
ディールス
Diels, Otto Paul Hermann

ドイツの有機化学者.1899年にベルリン大学で学位を取得し,大学に残ってE.H. Fischer(フィッシャー)の助手となり,1904年に講師.1914年ベルリン大学助教授,1916年にキール大学教授となり,1948年の引退まで勤めた.1907年に書いた有機化学教科書はよく読まれ版を重ねた.1906年マロン酸脱水により亜酸化炭素を発見した.ステロイドの研究でセレン脱水素法を考案し,この方法によりステロイドから得た芳香族炭化水素(ディールスの炭化水素)の構造を決定し,ステロイド核の構造決定に大きく寄与した.1928年助手のK. Alder(アルダー)とともに,共役二重結合を有する化合物が不飽和結合をもつ化合物と反応して六員環の化合物をつくる反応(ディールス-アルダー反応)を発見し,1950年Alderとともにノーベル化学賞を受賞した.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ディールス」の意味・わかりやすい解説

ディールス
Diels, Otto Paul Hermann

[生]1876.1.23. ハンブルク
[没]1954.3.7.
ドイツの有機化学者。ベルリン大学の E.フィッシャーのもとで学び,ベルリン大学教授 (1914) ,キール大学教授 (16~45) を歴任。 1906年,きわめて反応性の高い亜酸化炭素 (無水マロン酸) を発見し,この性質と化学組成を決定した。また金属セレンを使って,種々の有機分子の水素を除去する脱水素反応の簡単な方法を発見した。彼の最も有名な研究は弟子の K.アルダーと共同で発見したジエン合成であり,現在ディールス=アルダー反応として知られる。この反応により,炭素・炭素二重結合を2個有するジエンから多くの有機化合物を合成し,得られた化合物の分子構造を解明し,この反応が合成ゴムやプラスチックの製造に特に重要であることを示した。アルダーとともに 50年ノーベル化学賞を受賞。

ディールス
Diels, Hermann

[生]1848.5.18. ビーブリヒ
[没]1922.6.4. ベルリン
ドイツの古典文献学者,哲学史家。 1886年ベルリン大学教授。ギリシア哲学の文献の校訂,注釈の仕事が多く,特にソクラテス以前の哲学史研究で有名。主著『パルメニデス』 Parmenides (1897) ,『ヘラクレイトス』 Herakleitos (1901) ,『ソクラテス以前の哲学者断片集』 Die Fragmente der Vorsokratiker (3巻,03) 。

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改訂新版 世界大百科事典 「ディールス」の意味・わかりやすい解説

ディールス
Hermann Diels
生没年:1848-1922

ドイツの古典文献学者。H.ウーゼナーの下で学び,のちベルリン大学教授となる。ギリシア古代哲学,ギリシア医学を専門とする。《ギリシア医学集成》や《ギリシア語アリストテレス注釈》26巻(1882-1909)の刊行に指導的役割を果たした。しかし本領はソクラテス以前の哲学史研究で,《ギリシア学説誌家》(1879),《前ソクラテス期哲学者断片》3巻(1903-10)は画期的研究として,今日においてもなお根本的研究にとって重要な業績である。
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百科事典マイペディア 「ディールス」の意味・わかりやすい解説

ディールス

ドイツの有機化学者。E.フィッシャーに学び,1916年キール大学教授。亜酸化炭素C3O2を発見。有機合成化学に多くの業績を残し,特にディールス=アルダー反応(ジエン合成)の発見は有名。1950年共同研究者である弟子のアルダーとともにノーベル化学賞。
→関連項目アルダー

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367日誕生日大事典 「ディールス」の解説

ディールス

生年月日:1848年5月18日
ドイツの古典文献学者,哲学史家
1922年没

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