セルビア共和国北部,ボイボディナ自治州の主都。交通の要で,ドナウ河畔の重要な港町でもある。人口24万3232(2003)。ハンガリー名ウーイビデークÚjvidék。住民はセルビア人,ハンガリー人,クロアチア人,スロバキア人,ルーマニア人など多くの民族から成る。17世紀末オスマン・トルコの圧政を逃れて続々と北上したセルビア人が,ドナウ川を越えてハンガリー領に移住しはじめ,この地にも多く住みつき,町の基礎がきずかれた。それゆえライツェンシュタットRaizenstadt(ドイツ語で東方正教徒セルビア人の町の意)とも呼ばれたが,1748年王領自由都市となり,名前もノビ・サド(新植民地)と改名した。1864年文化団体マティツァ・スルプスカの本部がブダ(現在のブダペスト)から移されると,おもに教育・出版を通じて精力的に文化活動を展開し,〈セルビアのアテネ〉とまでたたえられた。ズマイ,ラーザ・コスティチ(1841-1910)などの文学者ゆかりの地でもある。穀倉地帯の中心地だけに,家畜や農産物の集散地として繁栄し,食品工業も発達した。最近はトラクターなど種々の農業機械はもとより,電気製品,歯科医療器具,化粧品なども生産している。町並みは独特の混合様式に彩られ,市庁舎,博物館,マティツァ・スルプスカ付属画廊,大学,劇場(ハンガリー語,セルビア語)を配して見る者を飽きさせない。ドナウ川対岸のペトロバラジン城(16世紀),フルシュカ・ゴーラ丘陵はベオグラード市民の行楽地でもある。例年の国際農業見本市には世界各地からバイヤーが集まる。
執筆者:田中 一生
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…民族構成は,セルビア人54.0%,ハンガリー人18.2%,クロアチア人5.4%,スロバキア人3.4%,ルーマニア人2.3%,モンテネグロ人2.1%,ルテニア人1.0%(1981)。州都はノビ・サド。フルシュカゴーラやブルシャツ丘陵地を除くと87%が平地で,肥沃な黒土におおわれ,国内随一の穀倉地帯である。…
※「ノビサド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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