改訂新版 世界大百科事典 「プリモデリベラ」の意味・わかりやすい解説
プリモ・デ・リベラ
Miguel Primo de Rivera y Orbaneja
生没年:1870-1930
スペインの軍人,政治家。カディスの名門出身。モロッコ,キューバ,フィリピンの戦役に参加,1898年米西戦争の敗北後,帰国。1909年からモロッコ遠征で活躍後,マドリード師団司令官。上院でモロッコ政策を批判して罷免され,22年カタルニャ方面総司令官に左遷された。第1次大戦後の不況,社会混乱で文民内閣が総退陣すると,政治に介入して23年9月,バルセロナでプロヌンシアミエントを行った。国王アルフォンソ13世の承認を得てクーデタに成功,議会を解散し,憲法を停止した。24年4月,唯一の政党である〈愛国同盟〉を結成,経済活動に国家が介入して政治の再生を目ざす独裁制を確立した。資本の集中投入や外国資本の導入によって鉄道・道路建設や水力事業など公共事業に着手した。初期には民衆の支持を受けた独裁制も,モロッコ問題の泥沼化から内政が混乱し,25年には〈国家諮問会議〉を設立,文民主導制へ切り換えた。しかし世界的不況に加え,経済政策に失敗し,労働者,学生,地方主義勢力の反独裁運動が高揚した。支持勢力のうち,教会,軍隊が離反し,30年1月辞任。3月パリで客死した。長子ホセ・アントニオ・プリモ・デ・リベラはファランヘの創立者である。
執筆者:渡部 哲郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報