ホモ・エコノミクス(英語表記)homo economicus; economic man

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホモ・エコノミクス」の意味・わかりやすい解説

ホモ・エコノミクス
homo economicus; economic man

経済人とも訳され,人間類型の一つを意味する。経済的合理性に徹し,自己効用利得の極大化を目指し,他者の効用,利得を考慮に入れることがない。古典派,新古典派の別なく,標準的な経済理論でもっぱら採用されてきた仮設,あるいは公準。たとえば消費者行動の理論では,消費者は自己の効用と価格体系,それに所得水準のみをシグナルとして行動するとされており,他者の効用水準は考慮されていない。これに対して F.リストらに始るドイツの歴史派経済学は,そのような人間のとらえ方を批判したが,古典派が想定したのはあくまで方法論的仮設としてであり,現実の人間をそのように思考したわけではない。経済学におけるホモ・エコノミクスの方法論的性格は J.S.ミルによりはっきり自覚的に論じられるようになる。また経済的合理性に徹するとは,ただちに日本語でいう利己心に徹することと同義ではなく,A.マーシャルになると,この点もより配慮したうえで経済学の方法が論じられている。方法論的仮設としてのこの概念は,今日でもかなり用いられている。

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ブランド用語集 「ホモ・エコノミクス」の解説

ホモ・エコノミクス

ホモ・エコノミクスとは、自己の経済利益を極大化させることを唯一の行動基準として行動する人間の類型のことをいう。経済人。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホモ・エコノミクス」の意味・わかりやすい解説

ホモ・エコノミクス
ほもえこのみくす

経済人

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世界大百科事典(旧版)内のホモ・エコノミクスの言及

【経済人】より

…セルフ・インタレストの意味は,元来,自己に関連した事柄への関心ということであるが,それをせまく解釈すると私利私欲ということになる。私利私欲を専一とする人間,これが経済人つまりホモ・エコノミクスの最も一般的な定義である。このような人間観は,J.ベンサム流の功利主義の思想を経由し,さらにはW.S.ジェボンズに代表されるような快楽主義の思想から影響をうけて,物欲の充足を利己的に追求する人間という考え方をうみだした。…

※「ホモ・エコノミクス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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