ランス(英語表記)Reims; Rheims

精選版 日本国語大辞典 「ランス」の意味・読み・例文・類語

ランス

(Reims) フランス北部の都市シャンパーニュ地方の中心都市で、シャンペン製造・繊維工業が盛ん。中世、国王の戴冠式を行なった、ゴシック建築典型とされる大聖堂がある。

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デジタル大辞泉 「ランス」の意味・読み・例文・類語

ランス(Reims)

フランス北東部、グラン‐エスト地方の商業都市ぶどう酒集散地。繊維工業が発達。歴代国王が戴冠式を行った大聖堂がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ランス」の意味・わかりやすい解説

ランス
Reims; Rheims

フランス北東部,マルヌ県の都市。パリの東北東約 130km,シャンパーニュ平原の北西端に位置する。鉄道,道路の結節点で,商工業の中心地。南部のマルヌ河谷(→マルヌ川)一帯はぶどう畑に覆われ,エペルネとともにシャンパンの本場。ガロ・ローマ時代から北ガリアの中心地として栄え,3世紀から大司教座が置かれた。496年フランク王国の初代王クロービス1世ランス大聖堂でランスの大司教レミギウスにより洗礼を受け,カトリックに改宗した。フィリップ2世からシャルル10世までのフランス国王はほとんどこのランス大聖堂で戴冠式を行なった。なかでも 1429年シャルル7世ジャンヌ・ダルクの願いによって戴冠式をあげたのは有名。12世紀には大規模な定期市(→大市)が開設され,中世を通じ羊毛工業(→ウール)が栄えた。今日ではエンジニアリング,化学,包装などの諸工業が立地する。第2次世界大戦末の 1945年5月,ドイツはここで降伏文書に調印した。ランス大聖堂(13~14世紀)はゴシック様式(→ゴシック美術)の代表建築で,サン・レミ聖堂(11~12世紀),トウ宮殿とともに 1991年世界遺産文化遺産に登録。2015年にはシャンパンの生産地として世界遺産の文化遺産に登録された(→シャンパーニュ)。人口 18万1468(2008)。

ランス
Lance

アメリカが 1972年に配備を開始した移動式戦術ミサイル。8名の兵員で操作する。戦術核弾頭型と通常弾頭型があるが,92年時点では通常弾頭型が配備されている。主要目は,射程 130km,速度マッハ3,全長約 6.1m,直径 56cm,発射重量 1.5t,推進方式液体燃料,弾頭威力核弾頭 100ktまたは高性能炸薬弾頭。 CEP (半数必中界) 150m。

ランス
Lens

フランス北部,パドカレー県の炭鉱都市。アラス北方にある旧要塞町で,スペイン軍に対するコンデ公の当地での勝利 (1648) はウェストファリア条約締結の契機となった。パドカレー炭田の中心都市で,採炭,冶金工業のほか伝統的な繊維工業も行われる。ランス都市圏の中心都市。人口3万 5278 (1990) 。

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改訂新版 世界大百科事典 「ランス」の意味・わかりやすい解説

ランス
Reims

フランス北東部,マルヌ県の都市。人口18万7206(1999)。シャンパーニュ地方の中心都市で,丘陵地域の谷あいに立地し,小河川ベール川に臨む。ローマ時代からの交通の要衝で,レミ族Remiの中心都市。ランスの名はこの部族名に由来する。早くから大司教座が置かれ,キリスト教の伝道期には数多くの聖人が輩出した。496年にはフランク王クロービスがこの地で洗礼をうけ,フランク族とキリスト教の結合が達成された。その後,フランス国王の戴冠式はほとんどランスで行われた。ジャンヌ・ダルクの立会いの下で,1429年にシャルル7世の戴冠式が行われたのもここである。政治家コルベールの出身地としても有名。1945年には,ドイツの無条件降伏文書がランスで調印された。経済的には,中世以来商業都市として栄え,その後,フランネルラシャなどの毛織物を中心とする繊維産業が発展した。また,南方のエペルネとともに,シャンパンの醸造と流通の一大中心地であり,それに付随して瓶,コルク栓,ラベルなどの製造工業がある。しかし,これらの伝統産業は,今日のランスで小さな比重しかもっていない。第2次大戦後,郊外に大きな工業団地が造成され,金属機械,電気機器を主要部門として工場が相次いで進出し,業種は多様化している。また,パリ盆地東部の中心都市として,官公庁や民間企業のオフィスが都心部に多数立地し,商業,サービス業の発展も近年著しい。学生数約1万の総合大学をもつ。観光都市としても重要で,とくにランス大聖堂とシャンパン貯蔵庫の存在により,外国人を含め多数の観光客を引きつけている。第2次・第3次産業の発展の結果,20世紀前半を通じて12万人前後に停滞していた人口は,現在郊外を含めると約20万人に達している。これに対応して,郊外には住宅団地が次々と建設され,ランス大聖堂を中心とする楕円形の旧市街と対照的である。
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百科事典マイペディア 「ランス」の意味・わかりやすい解説

ランス

フランス北部,シャンパーニュ地方,マルヌ県の商工業都市。シャンパンの取引で名高く,機械・電機・ガラス・化学などの工業も行われる。また,毛織物工業は17世紀以来の伝統をもつ。ランス大聖堂,初期ゴシックのサン・レミ修道院などがある。現在では美術館となっているト宮殿とこれら歴史的建造物は,1991年世界文化遺産に登録されている。ローマ時代から宗教都市として栄え,496年クロービス受洗以来,歴代フランス王の戴冠(たいかん)式がランス大聖堂で行われた。1945年5月独軍降伏の地。3万5583人(2006)。
→関連項目シャンパーニュ藤田嗣治

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ランス」の解説

ランス
Reims

フランス東北部の都市。496年聖レミ司教がクローヴィスに洗礼を授けた伝承により,歴代フランス王の戴冠,聖別の地の特権を得た。774年大司教座。都市は1138年頃コミューン都市となる。大司教座聖堂は古典様式ゴシックの傑作である。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ランス」の解説

ランス
Reims

フランス北東部にある商工業都市
クローヴィスがここで洗礼を受けてキリスト教に改宗して以来,ランスの大司教がフランス王の宗教行事を執行してきた。フランス王加冠の地でもあった。

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世界大百科事典(旧版)内のランスの言及

【ランス大聖堂】より

…フランス北部,ランスの大聖堂。正称はノートル・ダムNotre‐Dame。…

※「ランス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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