リン(燐)光(読み)りんこう

改訂新版 世界大百科事典 「リン(燐)光」の意味・わかりやすい解説

リン(燐)光 (りんこう)
phosphorescence

ルミネセンス一種物質をなんらかの方法で励起し,その励起を中止した後に長時間にわたって発光する場合,これをリン光という。蛍光が10⁻9秒程度の平均寿命であるのに対して,リン光は数秒に達することもある。ただし,このような区別は明確なものではなく,発光の機構によって定義することも多い。すなわち,物質内の電子が励起状態へ励起された後,直ちに元の基底状態へもどるときに放出する光が蛍光であり,リン光はいったん準安定な中間状態へ移り,その後に基底状態へもどるときに放出される光である。中間状態としては共役系不飽和有機化合物の三重項状態,半導体中の不純物の浅いエネルギー準位などがある。
ルミネセンス
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百科事典マイペディア 「リン(燐)光」の意味・わかりやすい解説

リン(燐)光【りんこう】

蛍光

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世界大百科事典(旧版)内のリン(燐)光の言及

【蛍光分析】より

…これは励起状態のエネルギーが一部熱エネルギーに変換されるためである。なお一般の蛍光は電子エネルギーに関して一重項状態間の遷移から成り立っているが,励起一重項から無放射遷移して三重項レベルに電子が移り,比較的時間が経過したのち発光が起こる現象をリン光と呼び,蛍光と区別されることが多い。 蛍光分析によって定量される物質には,多環芳香族,色素,トリプトファンなどの特定のアミノ酸,タンパク質,ビタミン,補酵素などの生体物質が挙げられる。…

【鉱物】より

…(6)圧電気 圧力(衝撃)を加えた場合,結晶の両端に異種静電気の帯電がみられる圧電性(圧電気)を示すものもある。(7)ルミネセンス 蛍石のように鉱物の一部には,光,熱,電子線などのエネルギーを与えた場合,これを吸収してその鉱物特有の波長の光を発生する特性(ルミネセンス)をもつものがあり,外部よりエネルギーを受けている間のみ発光する場合を蛍光,その後もしばらく発光が持続する場合をリン光と呼ぶ。約200種の鉱物は紫外線の照射により蛍光またはリン光を発生するため,鉱物の鑑定,特別の鉱石の探鉱などに利用されている。…

【リン(燐)】より

…白リン(黄リン)は最も化学的活性が強く,空気中で50℃で発火燃焼して主として五酸化二リンP2O5(P4O10)を生ずる。湿った空気中では徐々に酸化され,暗所では青白色の微光(リン光)を放つ。したがって白リンは水中に空気を遮断して蓄えなければならない。…

※「リン(燐)光」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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