一途(読み)イチズ

デジタル大辞泉 「一途」の意味・読み・例文・類語

いち‐ず〔‐ヅ〕【一途】

[名・形動]
他を考えないで、一つのことに打ち込むこと。また、そのさま。ひたすら。ひたむき。「一途に思いつめる」「学問一途の人」
一つの方法
「偽って申す条…はかりごとの―たれば」〈太平記・三〇〉
ひたすら[用法]
[類語]ひたすらひたむき一筋ただただただ専一ひとえに一心一念一路一散一目散一直線一本槍一点張り一辺倒一意専心営営せっせ遮二無二無二無三がむしゃら一心不乱脇目も振らず直線的まっしぐら直情径行まっすぐ猪突猛進ストレートしゃかりきしゃにむに無心粉骨砕身無我夢中熱中夢中専心専念没入没頭没我傾注傾倒我を忘れるこんを詰める身を入れる身を砕く心血を注ぐ

いっ‐と【一途】

《ひとすじの道の意から》
一つの方法・手段。「ただ攻撃一途あるのみ」
もっぱらその方向ひとすじ。「増加一途をたどる」
二つ以上のものが合一すること。「官武一途

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「一途」の意味・読み・例文・類語

いっ‐と【一途】

〘名〙
① (「一筋の道」の意から) それしかないと思われる一つの方針、方法。また、その決定。
※近衛家本追加‐弘安七年(1284)八月一七日「引付勘録事、止二途三途、可申一途
※帝都復興に関する詔書‐大正一二年(1923)九月一二日「只速に人事を尽して民心を安定するの一途あるのみ」 〔劉峻‐弁命論〕
② 二つ以上のものが一致すること。一つにまとまること。
※三島社文書‐応永七年(1400)六月一五日・源満兼願文「然依輔佐之遠慮和睦之一途
③ ただ一つの方向。
歩兵操典(1928)綱領難局を打開し戦捷の一途に邁進するを要す」

いち‐ず ‥ヅ【一途】

〘名〙
① 一つの方法。特に仏語としては、悟りを求める一つの方法。
※三十四箇事書(1250頃)「但於理即位妙覚仏成道云事、実一途教門也」 〔安楽集‐上〕
② (形動) 他のことを顧みないで、一つの方針または事柄に向かってゆくこと。また、その方針や事柄、およびそのさま。
※太平記(14C後)二「各死罪に行はるべしと評定一途(ヅ)に定て」
浄瑠璃松風村雨束帯鑑(1707頃)二「松風を助んと、一づにしあんきわめしが」
多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「分別用捨も何も無く、一図の悲歎に沈むで」

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普及版 字通 「一途」の読み・字形・画数・意味

【一途】いつと

ひとすじ。ひとつの方法。元・呉澄〔人の武昌に遊ぶを送る〕詩 として、四に志す 俗士拘拘として、一を守る

字通「一」の項目を見る

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