一酸化炭素中毒(CO中毒)(読み)いっさんかたんそちゅうどくしーおーちゅうどく(英語表記)Carbon Monoxide Poisoning

家庭医学館 の解説

いっさんかたんそちゅうどくしーおーちゅうどく【一酸化炭素中毒(CO中毒) Carbon Monoxide Poisoning】

[どんな病気か]
 一酸化炭素には、酸素の約250倍も血液中のヘモグロビンと結びつきやすい性質があります。
 ヘモグロビンは、全身細胞や組織に酸素を送り届ける役目をしていますから、一酸化炭素を吸い込むと、酸素より先にどんどんヘモグロビンと結びついてしまい、ヘモグロビンが運ぶ酸素の量が減り、全身の細胞や組織が酸素不足におちいり、ついには窒息死(ちっそくし)に至ります。
 一酸化炭素は、自動車の排気中に含まれています。また、いろいろなものが不完全燃焼をおこした際にも発生します。家庭では、これらの一酸化炭素を吸い込む中毒事故がおこります。
[症状]
 一酸化炭素と結びついたヘモグロビンをCOHb(一酸化炭素ヘモグロビン)といい、血液中の量(濃度)によって、おこってくる症状が異なります(表「COHb濃度と症状」)。
[治療]
 ヘモグロビンから一酸化炭素を追い出すため、100%酸素の吸入を行ないます。高圧酸素療法が行なわれることもあります。
 同時に安静を保つことがたいせつです。長時間、間欠型(かんけつがた)一酸化炭素を吸い込んでいた場合は、4週間ぐらい安静にしていることが必要です。
 また、退院後も、しばらくは急な運動をしないようにします。
 安静を守らなかったり、急な運動をしたりすると、間欠型(かんけつがた)一酸化炭素中毒がおこる危険があります。
 回復期にけいれんがおこることがあります。このときは、ジアゼパムを注射します。
 脳水腫(のうすいしゅ)を予防するために副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン薬を注射することもあります。
■間欠型一酸化炭素中毒
 一酸化炭素中毒の昏睡(こんすい)から覚め、意識が正常にもどり始めたときに、失見当識(しつけんとうしき)(周囲のことがわからない)、錯乱、不穏(騒ぐ)、無関心、失語歩行障害失禁などが現われることがあります。これを、間欠型一酸化炭素中毒といいます。
 この間欠型一酸化炭素中毒は、一酸化炭素中毒をおこした人の約10%にみられます。お年寄りに多く、ふつう、3~4週間で快方にむかいますが、死亡することもあります。
 一酸化炭素中毒の症状が軽くても、長時間、一酸化炭素を吸ったおそれのある人は、4週間ぐらいまで安静を守ってください。

出典 小学館家庭医学館について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android