七三(読み)しちさん

精選版 日本国語大辞典 「七三」の意味・読み・例文・類語

しち‐さん【七三】

〘名〙
① 物を分配する時の分け方の一つ。七対三に分けること。
※初すがた(1900)〈小杉天外〉一「落掛った七三の端折をぐいと絞上げて」
※江戸から東京へ(1921)〈矢田挿雲〉七「利益は七三に別ける約束すら兎角づるけ勝ちであった」
② 髪の分け方の一つ。左右に七分と三分に分ける型。
黒潮(1902‐05)〈徳富蘆花〉一「長髪を右分の七三に奇麗に撫でつけた、浅黒い円顔の」
歌舞伎劇場本花道で、揚幕(あげまく)から七分、舞台の付け際から三分の所。俳優が立ち止まって、せりふを言ったり、見得(みえ)を切ったり、思い入れなどをする。花道七三。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「七三」の意味・読み・例文・類語

しち‐さん【七三】

物を7対3の割合で分けること。「利益は七三に配分する」
髪の毛を左右に7分3分のところから分けること。七三分け。「髪を七三に分ける」
歌舞伎劇場の本花道で、揚げ幕から7分、舞台から3分の所。すっぽんがあり、俳優が花道演技をする際に中心となる。「七三で見得を切る」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の七三の言及

【花道】より

…これが現在のように上方風になったのは,明治に入ってからのことである。 花道の,揚幕から7分,舞台から3分(現在の劇場ではもう少し舞台寄り)の定位置を〈七三(しちさん)〉と呼び,登・退場を印象づける演技が行われる。そこには〈スッポン〉と名付けられた亡霊などの出現や消滅のための小型の〈迫り(せり)〉(昇降装置)も設けられている。…

※「七三」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android