三笑亭可楽(初代)(読み)さんしょうてい・からく

朝日日本歴史人物事典 「三笑亭可楽(初代)」の解説

三笑亭可楽(初代)

没年:天保4.3.8(1833.4.27)
生年:安永6(1777)
江戸後期の落語家通称京屋又五郎。江戸に生まれ,櫛職人となる。寛政10(1798)年,大坂より下った岡本万作の寄席興行の影響を受け,山生亭花楽を名乗り興行を打ち,江戸落語家寄席出演の嚆矢となるが,持ちネタが少なく5日で廃し,その後越ケ谷(埼玉県)を振り出しに巡業。松戸(千葉県)で三笑亭可楽と改名。翌々年江戸で咄の会を開き,享和2(1802)年には初の咄本『山しょ味噌』を刊行。頓才に恵まれ,文化1(1804)年には,三題咄(弁慶,辻君,狐)を考案した。落咄を即席にまとめる一分線香即席咄を得意とし,謎解きにも挑戦した。素咄を正座で咄すという上品な芸風で,『新作 種が島』(1811)には門人25名の連名を掲げるが,朝寝坊夢羅久,初代林屋正蔵が著聞。文政7(1824)年には成田山に見事な絵馬奉納(現存)。浅草今戸潮江院に葬る。名跡は平成4(1992)年に襲名の9代目におよぶ。<参考文献>延広真治『落語はいかにして形成されたか』

(延広真治)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「三笑亭可楽(初代)」の解説

三笑亭可楽(初代) さんしょうてい-からく

1777-1833 江戸時代後期の落語家。
安永6年生まれ。櫛(くし)職人から修業して落語家となり,江戸の寄席(よせ)落語のさきがけとなる。三題噺(ばなし)を創始,即興噺を得意とした。初代林屋正蔵などおおくの門弟をそだて,落語中興の功労者とされる。天保(てんぽう)4年3月8日死去。57歳。江戸出身。通称は京屋又五郎。初名は山生亭花楽。噺本に「山しょ味噌(みそ)」「東都真衛(えどまえ)」など。

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