中性子検出器(読み)チュウセイシケンシュツキ

デジタル大辞泉 「中性子検出器」の意味・読み・例文・類語

ちゅうせいし‐けんしゅつき【中性子検出器】

中性子検出するための測定器。中性子は電気的に中性でそれ自身電離作用をもたないが、中性子と相互作用を起こしやすいヘリウム3やホウ素10に衝突すると核反応が起こる。これによって生じる核分裂片が気体分子などを電離するため、電離電流を測定することで中性子を間接的に検出できる。

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化学辞典 第2版 「中性子検出器」の解説

中性子検出器
チュウセイシケンシュツキ
neutron detector

中性子と物質の相互作用過程は種々あるが,それらを利用することによりいろいろな検出器がつくられている.物質との相互作用には,
(1)核変換反応により生じる粒子が検出可能なもの,すなわち,(n,α),(n,p),(n,γ),(n,f)反応などで生じるα粒子,陽子,γ線,核分裂生成物(f)を検出する場合,
(2)核変換反応により生じる放射性同位体の放射線が検出可能である場合,
(3)中性子弾性散乱の結果生まれた反跳粒子が荷電粒子であり,検出可能である場合,
などがある.それらの反応過程を起こすのに必要な物質と,その結果生じた現象を測定する手段を備えたものとして,BF3 計数管などのガス入り計数管,(n,γ)反応を利用した熱中性子用シンチレーション検出器,高速中性子のエネルギーと方向の両方を測定することのできる原子核乳剤,熱中性子に対して検出効率の高い半導体検出器,金ぱくなどをある一定期間,中性子束にさらし,生じた放射能を測定して中性子束の量を知る放射化検出器などが用いられている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中性子検出器」の意味・わかりやすい解説

中性子検出器
ちゅうせいしけんしゅつき
neutron detector

中性子を検出する装置の総称。中性子は電荷をもたないので,その検出は物質中の原子核による散乱,または核反応により生じた荷電粒子や放射能によって行う。遅い中性子に対しては 10B(n,α)7Li 反応で放出されるα粒子を測定するフッ化ホウ素ガス入り計数管,速い中性子に対しては弾性散乱ではじき飛ばされた陽子を測定する水素ガス入り計数管や有機シンチレーションカウンターが使われる。フィッションチェンバーはウラン 235など中性子捕獲核分裂を起す物質を内蔵した電離箱で,核分裂片の電離作用を利用する。

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