井上保次郎(読み)いのうえ・やすじろう

朝日日本歴史人物事典 「井上保次郎」の解説

井上保次郎

没年:明治43.6.25(1910)
生年:文久3.10.2(1863.11.12)
明治期の実業家松本重太郎の養子松蔵の実兄今村清之助の子周の養父家業両替商継ぎ,前田伊之助の補佐幕末の危機を乗り切り,株式仲買店経営。第百三十六国立銀行,井上銀行経営のほか九州,関西,参宮,山陽,豊州,西成各鉄道等に関係。今村と共同で低位の地場銘柄を買い集め,重役となって財務面で支援し,株価を回復させて利食いするを常とした。同一店内で実質的に証券,銀行兼営を行ったが,銀行廃業後倉庫,製紙業に転身した。<参考文献>足立栗園・小谷松次郎『今村清之助君事歴』,小川功「明治期の私設鉄道金融と鉄道資本家」(『追手門経済論集』1992年)

(小川功)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「井上保次郎」の解説

井上保次郎 いのうえ-やすじろう

1863-1910 明治時代の実業家。
文久3年11月3日生まれ。代々大阪の両替商で,屋号泉屋。明治19年愛知県半田の第百三十六国立銀行をひきつぎ,のち井上銀行と改称。33年大阪の百三十銀行と合併した。関西鉄道,山陽鉄道,九州鉄道の経営に参加。39年東洋製紙を設立,巻きたばこ用紙を国産化し市場を独占した。明治43年6月27日死去。48歳。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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