以外(読み)いがい

精選版 日本国語大辞典 「以外」の意味・読み・例文・類語

い‐がい ‥グヮイ【以外】

〘名〙
① ある範囲外側。⇔以内
※改正増補和英語林集成(1886)「コノ イタベイヨリ igwai(イグヮイ)
② (他の名詞動詞に付いて) それを除く他の物事。そのほか。
史記抄(1477)七「殺人以外は唯傷人及盗は、使至罪名耳ぞ」
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一「黒の子分になって鼠以外の御馳走を猟ってあるく事もしなかった」 〔顔氏家訓勉学
[語誌](1)中国の典籍に用いられており、日本でも熟字としてはすでに奈良時代の文献にあるが、その読みは、日本書紀古訓によると「ほか」である。また、平安中期の古記録・古文書での読みは「もってのほか」である。
(2)中世以降、「以後」「以前」などにならって音読みが行なわれた。

もって‐の‐ほか【以外】

〘名〙 (形動)
① (事柄常識予想を越えていて)程度がはなはだしいこと。たいへんなこと。また、そのさま。困った状態、どうにもならない状態の場合に用いられることが多い。
富家語(1151‐61)「知成と高声に召て後に、以外僻事仕候にける」
浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡(1712頃)相の山「御病気以の外のよし」
② (事柄が普通でなくとがめ立てされるような場合に用いる) とんでもないこと。けしからぬこと。
※浄瑠璃・酒顛童子付頼光山入(1678)「なんぞやあつまのあらゑびすを。むこに取べきいはれなしと、もっての外にの給へば」

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デジタル大辞泉 「以外」の意味・読み・例文・類語

い‐がい〔‐グワイ〕【以外】

ある範囲の外側。「自分の職務以外のこと」⇔以内
(他の名詞や動詞に付いて)それを除く他の物事。「関係者以外入室禁止」「食べる以外に楽しみがない」
[類語](1以上以下以内未満/(2ほか

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「以外」の読み・字形・画数・意味

【以外】いがい(ぐわい)

その他。〔顔氏家訓、勉学〕此(かく)の如き賢、故(もと)上品と爲す。以外は(おほむ)ね多く田野人にして、辭鄙陋、風操蚩拙(しせつ)なり。

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