(読み)にんずる

精選版 日本国語大辞典 「任」の意味・読み・例文・類語

にん‐・ずる【任】

[1] 〘自サ変〙 にん・ず 〘自サ変〙
① 引き受けて自分の任務または、責任とする。官職につく。任じる。
※本朝文粋(1060頃)二・意見十二箇条〈三善清行〉「臣去寛平五年任備中介
※名語記(1275)三「任じつれば国中みな心のままに、管領するよし歟」
② 任務に自信を持つ。自任する。任じる。
※妾の半生涯(1904)〈福田英子〉一「有志家を以て任ずる人の」
[2] 〘他サ変〙 にん・ず 〘他サ変〙
① 官職につかせる。役につける。任じる。
※続日本紀‐天平一六年(744)「但比年以来、所任使人、訪察不精」
小学読本(1874)〈榊原那珂稲垣〉五「備中ノ権ノ介に任ぜられ其国に徃きたるに」
② 担当させる。ひきうけさせる。まかせる。任じる。

にん【任】

〘名〙
① 自分にまかせられた役目。また、みずから負った責任。
※続日本紀‐慶雲二年(705)四月丙寅「朕顧念之、任重事密、充員難満」
太平記(14C後)三七「則ち大将の任(ニン)をぞ授けられける」 〔論語‐泰伯
② ある任務についている期間任期
※後撰(951‐953頃)雑三・一二四一・詞書「任はててのち」
職務を行なうため、おもむく土地。任地
※続日本紀‐天平神護元年(765)八月庚申「従五位下石川朝臣永年為隠岐員外介。到任数年自縊而死」 〔潘岳‐楊荊州誄〕
④ ある任務に適していること。
読本春雨物語(1808)海賊塩梅(えんばい)の臣の任にあらず」

にん・じる【任】

(サ変動詞「にんずる(任)」の上一段化したもの)
[1] 〘自ザ上一〙 =にんずる(任)(一)
※安吾巷談(1950)〈坂口安吾〉東京ジャングル探検「天下の彌次馬をもって任じる私が」
[2] 〘他ザ上一〙 =にんずる(任)(二)

まかせ【任】

語素〙 (動詞「まかせる(任)」の連用形名詞化から) 名詞に付けて、そのものにまかせきりであることを表わす。「風まかせ」「力まかせ」など。
※古文真宝彦龍抄(1490頃)「何ごとも天下は呂不韋まかせで有た程に」
※俳諧・おらが春(1819)「ともかくもあなた任せのとしの暮」

まか・す【任】

[1] 〘他サ下二〙 ⇒まかせる(任)
[2] 〘他サ五(四)〙 したいようにさせる。ゆだねる。委任する。
※虎明本狂言・武悪(室町末‐近世初)「『跡のめこどもの事たのむ』『それはまかさしめ』」

まっかせ【任】

〘感動〙 (「まかせ」の変化した語) まかせておけの意で、何かを請け合って発する掛け声。よしきた。心得た。
※浮世草子・傾城色三味線(1701)京「かってから呼もせぬに、『まっかせ』といひ立にはいって後は出ず」

まけ【任】

〘名〙 (下二段動詞「まく(任)」の連用形の名詞化) 任務を命じること。任命して差し遣わすこと。まき。→まけ(任)のまにまに

まき【任】

〘名〙 (四段活用動詞「まく(任)」の連用形の名詞化) =まけ(任)

にん‐・ず【任】

〘自他サ変〙 ⇒にんずる(任)

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デジタル大辞泉 「任」の意味・読み・例文・類語

にん【任】[漢字項目]

[音]ニン(呉) ジン(漢) [訓]まかせる まかす
学習漢字]5年
引き受けた役目。「任務解任在任辞任就任責任退任大任担任着任適任赴任留任歴任
ある役目に当てる。「任官任期任命任免後任再任主任常任親任選任
自由にさせる。まかせる。「任意委任一任信任放任
気力をたのみにする。「任侠にんきょう・じんきょう
[名のり]たえ・たか・たかし・ただ・たね・たもつ・と・とう・ひで
[難読]任那みまな

にん【任】

まかせられた役目。任務。「を解く」「に堪えない」
任務を行う期間。任期。「が満ちる」「を終える」
[類語]勤め任務義務責任責務本務使命役目やく役儀ぶん本分職分職責責め課業日課

まけ【任】

《動詞「ま(任)く」の連用形から》任命すること。任命して差し遣わすこと。
「もののふのおみ壮士をとこは大君の―のまにまに聞くといふものそ」〈・三六九〉

まき【任】

まけ(任)」に同じ。
「大君の―のまにまに取り持ちて仕ふる国の」〈・四一一六〉

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