僧帽弁(読み)ソウボウベン(英語表記)mitral valve

翻訳|mitral valve

デジタル大辞泉 「僧帽弁」の意味・読み・例文・類語

そうぼう‐べん【僧帽弁】

心臓左心房から左心室への間にある弁。2枚からなり、血液逆流を防ぐ。二尖弁にせんべん左房室弁
[補説]左心房が収縮するときに開いて左心室へ血液を送り込み、左心室が収縮するときに閉じて左心房への血液の逆流を防ぐ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「僧帽弁」の意味・わかりやすい解説

僧帽弁
そうぼうべん
mitral valve

二尖弁ともいう。左心房と左心室の間の線維輪に付着する弁で,大動脈弁輪に接する前尖と,左心室後壁に付着する後尖とから成る。両弁尖は前,後交連で接しており,腱索を介して心室の乳頭筋に固定されている。僧帽弁は,心臓の拡張期には弁尖を開いて左心房から左心室に血液を流入させ,収縮期には閉じて左心室から左心房への血液逆流を防ぐ役割をしている。正常の僧帽弁口面積は4~6cm2である。リウマチ性心内膜炎の治癒過程で弁尖が癒合して弁口面積が 1cm2以下になると,左心房から左心室への血流が阻害され,僧帽弁狭窄症の症状 (呼吸困難など) が現れる。また,弁尖の瘢痕短縮,腱索断裂,左心室拡大に続発する弁輪拡大などによって,収縮期に左心室の血液が左心房に逆流する状態を僧帽弁閉鎖不全症という。狭窄と閉鎖不全が同時にみられる場合もある。症状が強い場合,僧帽弁狭窄症には交連切開術,僧帽弁閉鎖不全症には弁輪形成術を行う。弁の変性が高度ならば弁置換術が行われる。

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百科事典マイペディア 「僧帽弁」の意味・わかりやすい解説

僧帽弁【そうぼうべん】

心臓の左心房と左心室との境にある弁。2枚の弁膜からなるので二尖弁(せんべん)ともいう。左心室内の乳頭筋の頂から腱索(けんさく)というひもがその先端につき,その形が大僧正帽子に似るのでこの名がある。血液の左心房への逆流を防ぐ役目をする。三尖弁とともに房室口にあるので,房室弁と総称される。
→関連項目僧帽弁閉鎖不全症

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世界大百科事典(旧版)内の僧帽弁の言及

【心臓】より

…左心房left atriumの後部には左右2対の肺静脈が開口する。左前下方の左心室とは僧帽弁輪で連なる。心房中隔には右心房側に卵円窩(か)があり,これは,胎生期の卵円孔が生後閉鎖した痕跡を示す。…

※「僧帽弁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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