僧帽筋(読み)そうぼうきん

精選版 日本国語大辞典 「僧帽筋」の意味・読み・例文・類語

そうぼう‐きん【僧帽筋】

〘名〙 後頭部から上背部にかけての正中部から起こって左右鎖骨肩甲骨につく三角形状の大きな筋肉。他の筋肉とともに肩の運動にあずかる。下半部の形を修道士帽子に見たてた語という。
※海と毒薬(1957)〈遠藤周作〉一「おやじは黙々と僧帽筋(ソウボウキン)を切っている」

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デジタル大辞泉 「僧帽筋」の意味・読み・例文・類語

そうぼう‐きん【僧帽筋】

後頭部から背中正中線に沿って始まり、左右の鎖骨肩甲骨に終わる菱形の筋肉。肩の運動に関与。名は、カプチン修道会士のかぶる長頭巾に形が似ることによる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「僧帽筋」の意味・わかりやすい解説

僧帽筋
そうぼうきん

脊柱(せきちゅう)と上肢をつないでいる筋で、扁平(へんぺい)な三角形状である。底辺にあたる部分は後頭骨、項靭帯(こうじんたい)・第7頸椎(けいつい)と全胸椎棘突起(きょくとっき)、およびその棘突起を覆う靭帯などからおこり、頂点部分は肩甲骨の肩甲棘、肩峰、鎖骨外側2分の1の部分についている。僧帽筋の名の由来は、左右の僧帽筋をあわせると不等辺四辺形となり、カトリック教フランシスコ会の一派「カプチン修道会」の修道士のかぶる長頭巾(ながずきん)カプチンcapuchinに似ることによる。僧帽筋は全体としてみると、肩甲骨および鎖骨の外側端を脊柱に向かって引く働きをするが、細かくは上・中・下の部分で働きは異なっている。上部は肩甲骨と鎖骨の肩峰端を上内方へ上げ、中部は肩甲骨を内側へ引き、下部は肩甲骨を内下方に引き下げる。なお、僧帽筋と胸鎖乳突筋とは同じ神経(副神経頸神経叢(そう))の支配を受ける。

[嶋井和世]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「僧帽筋」の意味・わかりやすい解説

僧帽筋
そうぼうきん
trapezius

上背部の三角形の大きな筋肉。後頭骨下部から第 12胸椎までの間の棘突起から始り,鎖骨外側と肩甲棘に付着している。副神経の支配を受け,肩甲骨を脊柱に向って引く働きをする。

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世界大百科事典(旧版)内の僧帽筋の言及

【筋肉】より


【背部の筋肉】

[背筋]
 背部にある筋肉は,大別して浅背筋群と深背筋群に分ける。前者は背部の浅層にあり,これに僧帽筋,広背筋,肩甲挙筋,菱形筋がある。これらは背部にあるけれども発生学的には上肢の筋肉に属し,したがって支配神経は,上肢に分布する腕神経叢に由来し,またその付着部は上肢帯(鎖骨,肩甲骨)および上腕骨で,筋肉の収縮は上肢の運動に関係している。…

※「僧帽筋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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