儀鳳暦(読み)ぎほうれき

精選版 日本国語大辞典 「儀鳳暦」の意味・読み・例文・類語

ぎほう‐れき【儀鳳暦】

〘名〙 上代に行なわれた太陰太陽暦一種李淳風(りじゅんぷう)によって作られ、唐の高宗の麟徳(りんとく)二年(六六五)に施行された麟徳暦が、儀鳳年間(六七六‐六七八新羅(しらぎ)に伝わり、さらに日本にもたらされて、この名で呼ばれたものかという。持統天皇四年(六九〇)に、元嘉暦(げんかれき)とともに行なう旨の記事が日本書紀にあるが、実際に元嘉暦と併用されたのは、六年(六九二)からであり、文武天皇二年(六九八)からは、この暦だけが用いられたともいわれる。天平宝字七年(七六三)廃せられて、大衍暦(たいえんれき)がこれに代わった。
書紀(720)持統四年一一月(北野本室町時代訓)「勅を奉りて始めて元嘉暦と儀鳳(キホウ)暦とを行ふ」

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デジタル大辞泉 「儀鳳暦」の意味・読み・例文・類語

ぎほう‐れき【儀×鳳暦】

太陰太陽暦の一。中国で唐代に李淳風りじゅんぷうが作った麟徳りんとく暦の日本での呼び名。高宋の儀鳳2年(677)日本に伝わり、文武天皇元年(697)から天平宝字7年(763)まで使用

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世界大百科事典(旧版)内の儀鳳暦の言及

【暦】より

…平安時代に編集された《政事要略》という本には604年から初めて暦日を用うとあり,このころを日本における暦日始行とする説は多い。しかし《日本書紀》では690年,持統天皇の4年の条に〈勅を奉りて始めて元嘉暦と儀鳳(ぎほう)暦とを行う〉と初めてはっきりと暦法採用が記載されている。これ以前になんらかの形で暦が使われていたことは確かであろう。…

※「儀鳳暦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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