切切(読み)セツセツ

デジタル大辞泉 「切切」の意味・読み・例文・類語

せつ‐せつ【切切】

[ト・タル][文][形動タリ]
心に強く迫るさま。また、心のこもっているさま。「切切たる望郷の念」「切切たる祈り」「切切と訴える」
音や声が寂しく身に迫るさま。「切切たる弦の響き」
[類語]痛切切実深刻ひしひしつくづくしみじみじいん心からせつびんびん哀切哀れ悲しい物悲しいうら悲しいせつないつらい痛ましい悲愴ひそう悲痛悲傷沈痛もの憂い苦しい耐えがたいしんどい苦痛やりきれないたまらないる瀬ない断腸の思い胸を痛める胸が痛む胸が塞がる無性にやたらむやみみだりむやみやたらめったやたらめったやみくもあまり無下に後先なし無謀無鉄砲めくら滅法盲目的後先見ず向こう見ず命知らず破れかぶれやけ自暴自棄ふてくされるやけくそやけっぱち自棄捨て鉢八方破れ無軌道放埒ほうらつ放縦放逸奔放野放図勝手次第好き勝手ほしいままつらつらしんから心が動くこよなくぞっこん度外れめっぽう途方もない途轍とてつもない桁違い過度すごくひどいはなはだこの上ないとても特別ことさらひたすら胸が裂ける胸が張り裂ける胸がつかえる胸が潰れる胸がつまる気を重苦しい滅入る気遣わしい塞ぐ塞ぎ込む消沈しょげるしょげ返る沈む憂鬱憂愁沈鬱メランコリー気鬱気塞ぎ鬱鬱陰鬱暗鬱鬱屈鬱結鬱気うっき鬱悶うつもん鬱積抑鬱憂さ鬱陶しい悶悶もんもん

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精選版 日本国語大辞典 「切切」の意味・読み・例文・類語

せつ‐せつ【切切】

〘形動ナリ・タリ〙
① 思いや情が強く心に迫るさま。心がこもっているさま。
※発心集(1216頃か)二「『只きと立ち入り給へ』と切々(セツセツ)に云ひければ」
※青春(1905‐06)〈小栗風葉〉春「一言一句肺腑から突出る如く切々として聞く者を打つ」 〔江淹‐傷愛子賦〕
② 親切で丁寧なさま。ねんごろなさま。
捷解新語(1676)一〇「かさねておうせきかさるべく候。せつせつの御ぢゃうちゃうだいいたし候」 〔論語‐子路〕
③ 音や声の調子がものさびしく心に迫るさま。
※和漢朗詠(1018頃)上「切々たり暗窓の下 々たり深草の中〈白居易〉」
※大観本謡曲・岩船(1466頃)「松吹く風はせつせつとして、ささめごとかくやらん」 〔白居易‐琵琶行
④ 物をみがく音のさま。
※浄瑠璃・国性爺後日合戦(1717)二「あら砥にかくる庖丁は、切々磋々たる金石の音」

きれ‐ぎれ【切切】

〘名〙 (形動)
① 小さく幾つにも切れること。断片的で全体がつながっていないさま。また、そのもの。今にも切れそうなさま。
今昔(1120頃か)三一「干(ほし)たる魚の切々(きれぎれ)なるにてなむ有ける」
※幼学読本(1887)〈西邨貞〉五「海豹若し首を出だせば、忽ち捕へて切れ切れに裂き」
言葉が途切れそうになって続くこと。また、そのさま。
置炬燵(1890)〈斎藤緑雨〉上「男きれぎれに受答へ、我(わが)吸殻に咽(むせ)べば」

さい‐さい【切切】

〘名〙 (形動) =さいさい(再再)
※山科家礼記‐応仁二年(1468)三月一八日「今度之事者依左様之子細、切々不催促之処」

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普及版 字通 「切切」の読み・字形・画数・意味

【切切】せつせつ

胸にせまること。唐・張九齢〔西江夜行〕詩 悠悠として天宇曠(ひろ)く 切切たり故

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