別伝(読み)ベツデン

デジタル大辞泉 「別伝」の意味・読み・例文・類語

べつ‐でん【別伝】

普通に伝えられているのとは別の言い伝え。
技芸武芸教義などにおける特別な伝授
教外きょうげ別伝」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「別伝」の意味・読み・例文・類語

べつ‐でん【別伝】

〘名〙
① 特別の伝授。
※わらんべ草(1660)一「それは精進なくても、別伝なれば不是非、当家は、聖徳太子よりのおきてのごとく、先祖次第尤なる事也」
② (「きょうげべつでん(教外別伝)」の略) 仏語。禅宗で、文字やことばによらず仏の悟りを心から心へ直接伝えること。
ほかの言い伝え。別の伝承。特定の伝記
日本往生極楽記(983‐987頃)行基菩薩「披国史別伝等。入二菩薩応迹之事焉」
④ 別の教え。異なる説。
日葡辞書(1603‐04)「Betden(ベツデン)。ベチノ ツタエ〈訳〉他の教え。または別の説」

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普及版 字通 「別伝」の読み・字形・画数・意味

【別伝】べつでん

本伝外の逸事などを録したもの。〔史通、雑述〕其のに十り。~七を別傳と曰ふ。~劉向列女、梁鴻の民、趙忠臣、徐廣の孝子(ごと)き、此れを之れ別傳と謂ふ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「別伝」の意味・わかりやすい解説

別伝
べつでん

特別のあるいは別個の伝承、伝授の意。または『天台智者大師別伝』などの例のように、正統な伝記以外の別の伝記をも意味する。また、禅宗は一名、別伝宗ともいい、ことばや文字に表された教説のほかに、別に師から弟子へと直接以心伝心で伝えられるものがあるという教外別伝を標榜(ひょうぼう)し、ことばによって釈迦(しゃか)が教えた教内の法に対し、ただちに仏の心を弟子の心に伝えた教外の法のなかにこそ仏教心髄があると主張する。

[藤井教公]

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