(読み)ドウ

デジタル大辞泉 「動」の意味・読み・例文・類語

どう【動】[漢字項目]

[音]ドウ(慣) [訓]うごく うごかす ややもすれば
学習漢字]3年
位置や状態が移りかわる。うごく。「動静動物動揺異動移動運動活動激動鼓動作動さどう自動振動制動微動不動浮動変動躍動流動
うごきを引き起こす。うごかす。「動因動員動機動力扇動能動発動
世の中の秩序を乱す。「動乱騒動暴動
心にショックを受ける。「動転感動
身振り。振る舞い。「動作挙動言動行動妄動一挙一動
[名のり]いつ

どう【動】

動くこと。「と静」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「動」の意味・読み・例文・類語

うご・く【動】

〘自カ五(四)〙 物事の位置、状態が変わる。いごく。おごく。
① 位置、地位などが別の所に変わる。また、別の状態に移る。
(イ) 静止していたものが位置を変える。移動する。
古事記(712)上「恒(つね)に石(いは)の如くに、常(とき)はに堅(かき)はに動(うごか)ず坐さむ」
(ロ) 別の状態に変化する。変動する。また、人の地位、仕事などが変わる。異動する。「人事異動で職場が動く」
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉六「僕の目的は更に動かぬ」
(ハ) 一つに決まらないでいろいろに考えられる。
滑稽本東海道中膝栗毛(1802‐09)三「あの衆の呑(のん)だちゃわんが、さけくさいかかいで見さしゃれ、とうごかぬ所へ気をつけられ」
② 物が前後左右上下などに揺れる。ゆらぐ。振動する。震動する。
※万葉(8C後)一〇・二一七六「秋田刈る苫手(とまで)(うごく)なり白露し置く穂田なしと告げに来ぬらし」
源氏(1001‐14頃)蓬生「すだれうごくけしきなり」
③ 他の働きかけによって心がぐらつく。動揺する。また、物事に深く感じてそちらへ心がひかれる。感動する。
※大和(947‐957頃)一二三「くさのはにかかれる露の身なればや心うごくに涙落つらむ」
④ 目的に添って、ある働きをする。
(イ) 組織、機械、乗り物、からだなどがその機能を発揮する。活動する。「警察が動く」
※竹取(9C末‐10C初)「物は少しおぼゆれど、腰なんうごかれぬ」
(ロ) 意図をもって、あちこちに働きかける。運動する。「就職のために動く」
社会百面相(1902)〈内田魯庵〉増税「我々は正義の為に動く議員ぢゃから」

うごか・す【動】

〘他サ五(四)〙
① 位置や地位を別の所に変える。また、別の状態に移す。
(イ) 静止している状態のものを別の位置に移す。
※古事記(712)中「其の刀をな動かしたまひそ」
(ロ) ある状態や結果を別の状態に変化させる。また、物の場所や人の地位、仕事などを変える。
※日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉五「命運既に帰する所ありて復た動かすべからざるものとなれり」
※それから(1909)〈夏目漱石〉一一「甲から乙に気を移し、乙から丙に心を動(ウゴ)かさぬものは」
② 物を前後左右上下などに揺らす。振動させる。震動させる。比喩的に、大きな音などがあたりを響かせることにもいう。
※万葉(8C後)四・四八八「君待つとわが恋ひ居ればわがやどのすだれ動之(うごかシ)秋の風吹く」
※観智院本三宝絵(984)上「雷ち鳴り地を動かす」
③ 気持をぐらつかせる。強く感動させる。
※古今(905‐914)仮名序「ちからをもいれずして、あめつちをうごかし、目に見えぬ鬼神をも、あはれと思はせ」
※発心集(1216頃か)六「此妻、かたちよくて、見る人多く心をうごかす」
④ 目的に添うようにある働きをさせる。人、からだ、組織、機械、乗り物などにその機能を発揮させる。操縦する。
正法眼蔵(1231‐53)弁道話「ただしたをうごかし、こゑをあぐるを」
※門(1910)〈夏目漱石〉二三「下を向いたまま鋏(はさみ)を動かしてゐた」

うごき【動】

〘名〙 (動詞「うごく(動)」の連用形の名詞化)
① 位置を変えること。移動。
※宇津保(970‐999頃)国譲上「いささかうごきもせられ侍らねば、人にしられぬまかりありきは、かたくなん」
② 一つに決まらないで、別の状態に変化すること。移り変わりのようす。変動。また、人の地位や仕事が変わること。異動。「世のうごき」「相場のうごき」
星座(1922)〈有島武郎〉「清々(すがすが)しい心の動きと、白露のやうな姿とに接すると」
③ 揺れること。振動。動揺。
※珊瑚集(1913)〈永井荷風訳〉腐肉「節づく動揺(ウゴキ)に篩の中なる 穀物の粒の如くに舞狂へば」
④ 組織、機械、乗り物、からだ、生命力などの働き。機能。活動。動作。
俳諧続猿蓑(1698)夏「昼寝して手の動やむ団(うちは)かな〈杉風〉」

どう‐・ずる【動】

[1] 〘自サ変〙 どう・ず 〘自サ変〙
① 動く。
※妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)三「結跏趺坐して、身心、動(トウ)(〈注〉ウコカス)せす」
② 特に、心が動揺する。驚きあわてる。
※宇津保(970‐999頃)国譲下「おほかたの心よせよりもまた思ひ侍るめるすぢ侍めれば、よにもどうじ侍らじ」
※今昔(1120頃か)五「其の時に宮の内騒ぎ動ずる事无限し」
③ 動悸(どうき)してめまいがする。目がくらむ。
※史記抄(1477)三「むねか動してから懐妊して伏犠を生たぞ」
[2] 〘他サ変〙 どう・ず 〘他サ変〙 動揺させる。動かす。
※平家(13C前)二「覚動の花を捧て、神殿の床を動じ」

おご・く【動】

〘自カ四〙 (「うごく(動)」の変化した語)
① 位置を変える。うごく。
※法華義疏長保四年点(1002)二「揺(オコク)‐颺(あかり)として安からぬを動とす」
② 心などが動揺する。また、あせる。
※浮世草子・枕童児抜差万遍玉茎(1751‐64頃)六「どうぞ人の見ぬ内にいにたいものと、おごく心うろつく間」

いごか・す【動】

〘他サ五(四)〙 (「うごかす(動)」の変化した語) 位置や状態を変える。また前後左右などに揺らす。
※御伽草子・浦風(室町時代物語集所収)(室町末)「さらに、いこかしたてまつるべき、きしょくも、なかりければ」
※浮世草子・世間娘容気(1717)三「娘をそばに引付置、一寸もいごかさず」

どう・じる【動】

〘自ザ上一〙 (サ変動詞「どうずる(動)」の上一段化したもの) =どうずる(動)(一)
※安土往還記(1968)〈辻邦生〉三「冷たい緊張した表情を、動じることのない残忍さのあらわれと見る人々もいた」

おごか・す【動】

〘他サ四〙 (「うごかす(動)」の変化した語) 動くようにする。うごかす。
※書紀(720)神代上(水戸本訓)「時に鶺鴒(にはくなふり)有り。飛び来りて其の首尾を揺(ヲコカス)

いごき【動】

〘名〙 (「うごき(動)」の変化した語) 動くこと。
※評判記・たきつけ草(1677)「とこに、ひたひたともってきたるいき、いやはやとかふいごきのとらるることではない」

いご・く【動】

〘自カ五(四)〙 (「うごく(動)」の変化した語) 位置や状態が変わる。また、前後左右などに揺れる。
※虎明本狂言・昆布売(室町末‐近世初)「いやいごかぬ」

いの・く【動】

〘自カ四〙 (「いごく(動)」の変化した語) うごく。
※洒落本・太平楽記文(1784)「あのやろふが格子へくっついていのきゑゑねへはな」

どう【動】

〘名〙 動くこと。変わること。乱れること。
※十善法語(1775)九「堅は地、湿は水、煙は火、動は風なり」 〔易経‐繋辞下〕

どう‐・ず【動】

〘自他サ変〙 ⇒どうずる(動)

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