北条団水(読み)ほうじょうだんすい

精選版 日本国語大辞典 「北条団水」の意味・読み・例文・類語

ほうじょう‐だんすい【北条団水】

江戸前期の俳人戯作者別号白眼居士・滑稽堂・西鶴庵。京都の人。井原西鶴の門。西鶴の死後遺稿の整理刊行に力を尽くした。俳諧点者としてまた浮世草子作者として活躍。著「団袋」「色道大皷」など。寛文三~宝永八年(一六六三‐一七一一

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デジタル大辞泉 「北条団水」の意味・読み・例文・類語

ほうじょう‐だんすい〔ホウデウ‐〕【北条団水】

[1663~1711]江戸前期の俳人・浮世草子作者。京都の人。井原西鶴門人で、師の遺稿を刊行した。俳書「秋津しま」「俳諧団袋」、浮世草子「色道大鼓」「日本新永代蔵」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「北条団水」の意味・わかりやすい解説

北条団水
ほうじょうだんすい
(1663―1711)

江戸前期の浮世草子作者、俳人。名は義延(よしのぶ)。白眼居士(はくがんこじ)、滑稽堂(こっけいどう)などの号もある。俳諧(はいかい)は井原西鶴(さいかく)の門人で、西鶴庵(あん)2代目となる。談林系の俳諧師雑俳の点者として当時知られる。西鶴の遺稿は主として彼が整理し刊行した。若年のときには大坂に住んだらしいが、のち京都に移住。なお、西鶴没後しばらくは大坂に住んだ。浮世草子作者として『昼夜(ちゅうや)用心記』『野傾(やけい)色三味線』『武道張合大鑑(はりあいおおかがみ)』『日本新永代蔵』その他の作があり、西鶴没後の代表的浮世草子作者として知られる。本屋の企画する出版書の編集者でもあり、歌謡集『松の葉』『落葉集(おちばしゅう)』『若緑(わかみどり)』などの編纂(へんさん)にかかわった。

宗政五十緒

『『北条団水集』(1983・古典文庫)』『宗政五十緒著「北条団水年譜」(『西鶴の研究』所収・1969・未来社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「北条団水」の意味・わかりやすい解説

北条団水
ほうじょうだんすい

[生]寛文3(1663)
[没]宝永8(1711).1.4. 京都
江戸時代中期の俳人,浮世草子作者。別号,橘堂,白眼居士。幼少時の経歴は不明。井原西鶴門下で俳諧を学び,京都で俳諧師として活躍。元禄6 (1693) 年西鶴が没してのち,大坂に行き,主なき西鶴庵を7年にわたって守り,遺稿の『西鶴置土産』『西鶴織留』『西鶴俗つれづれ』『西鶴名残の友』の4部を整理刊行した。その後再び京都に戻り,俳人,浮世草子作者として活動。おもな編著に,俳諧『特牛 (こというし) 』 (1690) ,『俳諧団袋』 (91) ,『くやみ草』 (93) ,浮世草子『色道大皷』 (87) ,『昼夜用心記』 (1707) ,『日本新永代蔵』 (13) 。

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朝日日本歴史人物事典 「北条団水」の解説

北条団水

没年:正徳1.1.8(1711.2.24)
生年:寛文3(1663)
江戸中期の俳人,浮世草子作者。名は義延。別号に白眼居士,滑稽堂。井原西鶴の門人で,談林俳諧師。雑俳点者としても活躍。俳諧師としては,元禄1(1688)年ごろから活躍し,『秋津嶋』『団袋』などを刊行。一方,点者としては,『高天鶯』『ぬりがさ』などに点がみえる。その真骨頂は,浮世草子にあり,西鶴の遺稿集を整理出版したことで有名。団水自身にも『日本新永代蔵』など,多くの作品がある。<著作>『北条団水集』全7巻<参考文献>宗政五十緒『北条団水年譜』(『西鶴の研究』)

(楠元六男)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「北条団水」の解説

北条団水 ほうじょう-だんすい

1663-1711 江戸時代前期-中期の俳人,浮世草子作者。
寛文3年生まれ。井原西鶴(さいかく)に俳諧(はいかい)をまなび,西鶴庵2代となる。師の遺稿「西鶴置土産(おきみやげ)」などを整理し刊行した。おもに京都で活躍。宝永8年1月8日死去。49歳。名は義延。別号に団粋(酔),白眼居士,滑稽堂。編著に「俳諧団袋」,浮世草子に「昼夜用心記」「日本新永代蔵」など。
【格言など】稼ぐに追いぬく貧乏神(「日本新永代蔵」)

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世界大百科事典(旧版)内の北条団水の言及

【団水】より

…江戸時代の俳人,浮世草子作者。姓は北条,名は義延,別号は白眼居士,滑稽堂など。〈延宝のとし団水と改名せられし夏の比〉と前書した〈団(まどか)なるはちすや水の器(うつはもの)〉(《秋津島》)の句を西鶴から贈られているから,12~19歳ごろ西鶴門の俳人として改号した事実が知られるが,前号,前歴はまったく明らかでない。天和期(1681‐84)ごろまで大坂に住し,貞享(1684‐88)の一時期紀州にあり,間もなく京都に移住,西鶴没の翌1694年(元禄7)大坂に移って師の庵に入り西鶴庵を襲名,1701年京都に帰住した。…

※「北条団水」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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