北洋(読み)ほくよう

精選版 日本国語大辞典 「北洋」の意味・読み・例文・類語

ほく‐よう ‥ヤウ【北洋】

[1] 北方の海。北海
米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉二「此は海湾の口なる、一小島にて、東は汪洋たる北洋に望み」 〔鼠璞‐巻上・防海〕
[2] 中国で特に清末から中華民国初期にかけて、直隷(現在の河北)、奉天(現在の遼寧)、山東各省沿海地方を呼んだ称。江蘇省以南の沿海および長江沿岸地域を南洋というのに対する。

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デジタル大辞泉 「北洋」の意味・読み・例文・類語

ほく‐よう〔‐ヤウ〕【北洋】

北方の海。北海。
中国で末に外交通商防衛などのため、直隷(河北)・奉天(遼寧)・山東三省を合わせて呼んだ称。直隷総督が北洋大臣兼任して管轄した。
[類語]南洋

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旺文社世界史事典 三訂版 「北洋」の解説

北洋
ほくよう

末期に外交・通商などの事務の便宜上つけた直隷 (ちよくれい) ・奉天・山東の3省の呼称
1861年北洋通商大臣を置き,のちに直隷総督に兼任させた。同大臣の統轄する北洋海軍は,1888年に正式編成を終えた。北洋という語は,その後制度を難れて,華北と同意義に用いられるようになった。なお浙江 (せつこう) 省以南の沿岸各省を南洋という。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「北洋」の意味・わかりやすい解説

北洋
ほくよう
Bei-yang; Pei-yang

中国,清末に奉天,直隷 (河北) ,山東の3省を総称した呼称。清末の外交通商事務処理のうえで沿海各省を便宜上南北に2分し,山東以北を北洋,江蘇以南を南洋としたことに始る。初め3省の外交通商事務統轄のため天津に三口通商大臣をおき,それが北洋通商大臣と呼ばれるようになり,同治9 (1870) 年以後は直隷総督の兼任となった。

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百科事典マイペディア 「北洋」の意味・わかりやすい解説

北洋【ほくよう】

中国北方の海洋をさす。また北方沿海の各省(河北・山東・遼寧)の称。清代の末期(19世紀後半)には北洋大臣が置かれ,直隷総督が兼務。これに対して南方沿海の各省は南洋と呼ばれ,南洋大臣が置かれた。→北洋軍閥

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普及版 字通 「北洋」の読み・字形・画数・意味

【北洋】ほくよう

黄海と渤海。

字通「北」の項目を見る

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デジタル大辞泉プラス 「北洋」の解説

北洋(ほくよう)

富山県、本江酒造株式会社の製造する日本酒。全国新酒鑑評会で金賞の受賞歴がある。

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世界大百科事典(旧版)内の北洋の言及

【北洋軍閥】より

…中国近代の袁世凱系軍事集団の総称。北洋とは南洋にたいする語で,江蘇,山東,直隷(河北),遼寧の北方沿海諸省を包括する,清末に設けられた歴史地理区画である。直隷総督が兼任する北洋大臣がその地域での外国との交渉問題などを管轄した。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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