厳重(読み)げんじゅう

精選版 日本国語大辞典 「厳重」の意味・読み・例文・類語

げん‐じゅう ‥ヂュウ【厳重】

〘名〙 (形動)
① おごそかなこと。いかめしい様子。おそれおおいさま。げんじょう。
今昔(1120頃か)一「伽藍を建立して一百余院の精舎を造る。其の㽵厳微妙にして厳重なる事无限し」
浄瑠璃・出世景清(1685)一「手斧始(てをのはじめ)の其ぎしき、けんぢうにこそつとめけれ」
② きびしいこと。ぬかりのないさま。厳密厳格。げんじょう。
※太平記(14C後)二四「武家斯くの如く申沙汰する上は、公家何ぞ異議に及ぶべきとて、已に事厳重(ゲンヂウ)なりしかば」
※島崎金次郎宛大田南畝書簡‐享和元年(1801)五月二五日「船は四艘にて、一艘に銅凡六万斤程積入れ出帆いたさせ申、船は五百石、四百石位之船にて、銅座役人より送状をわたし、船中相改候処、船子共平伏いたし厳重成事也」
③ (━する) 尊びおもんじること。〔漢書‐郭解伝〕
神仏霊験があらたかな様子。げんじょう。
※中右記‐天仁元年(1108)九月一八日「恒例八ケ仏神事尽以断絶、厳重数代法文皆以紛失、誠所驚聞食也」
[補注]「重」の漢音チョウで、ジュウは慣用音。ゲンジョウと読む場合のジョウはチョウの連濁である。「色葉字類抄」「文明本節用集」などから、中世まではゲンチョウ、または、ゲンジョウと読むべきかと思われるが、確例以外は便宜上この項に収めた。「日葡辞書前後からゲンジュウの形も多くなり、近世以降はそれが一般化した。→げんちょう(厳重)

げん‐ちょう【厳重】

〘名〙 (「ちょう」は「重」の漢音。「げんぢょう」とも)
実隆公記‐延徳元年(1489)一〇月三日「右頭中将等禁裏之厳重予申沙汰之遣了。武家厳重自前亜相方申出送之」
※色葉字類抄(1177‐81)「厳重 ケンテウ」
※詩学大成抄(1558‐70頃)二「げん重(デウ)きぶうはげしい心ぞ」

げん‐じょう ‥ヂョウ【厳重】

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デジタル大辞泉 「厳重」の意味・読み・例文・類語

げん‐じゅう〔‐ヂユウ〕【厳重】

[名・形動]
いいかげんにせず、きびしい態度で物事に対処するさま。「戸締まりを厳重にする」「厳重監視」「厳重に抗議する」
おごそかなさま。いかめしいさま。また、霊験あらたかなさま。
「其の荘厳しゃうごん微妙みめうにして―なること限りなし」〈今昔・一・三一〉
[派生]げんじゅうさ[名]
[類語]厳格厳正厳しいきつい厳酷冷厳険しい鋭い激しい峻厳しゅんげん峻烈しゅんれつ苛酷かこくこく容赦ようしゃない仮借かしゃくないひどい手痛い手厳しい手ひどいこっぴどい辛辣しんらつびしっと痛烈シビアすさまじい猛烈強烈苛烈熾烈しれつ強い強力強大無敵最強力強い手強い激烈鮮烈凄烈凄絶壮烈壮絶悲壮過激ラジカル激甚急激激越矯激ファナティック先鋭烈烈どぎついすごいものすごいはなはだしい桁外れ桁違い並外れ格段著しい荒荒しい荒っぽい大荒れ猛然荒らか威烈猛に

げん‐じょう〔‐ヂヨウ〕【厳重】

[名・形動ナリ]《「げんちょう」とも》「げんじゅう(厳重)」に同じ。
神感のおこるを―にして、掲焉けちえんも莫大なり」〈曽我・四〉

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普及版 字通 「厳重」の読み・字形・画数・意味

【厳重】げんちよう

尊重する。

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