受難オラトリオ(読み)じゅなんおらとりお

世界大百科事典(旧版)内の受難オラトリオの言及

【受難曲】より

…他方,J.S.バッハの《ヨハネ受難曲》(1724)は,部分的にブロッケスの詩をとり入れてはいるが,福音史家の記述を中心として受難曲本来の叙事詩的な性格を回復した名作であり,彼の《マタイ受難曲》(1729)は,ピカンダーPicander(本名Christian Friedrich Henrici,1700‐64)の宗教詩をとり入れながらもさらに聖書的な性格が強く,叙事的・抒情的・劇的な要素を壮大な規模で有機的に統合した記念碑的な作品である。
[受難オラトリオ]
 バッハの没後は,宗教的な劇音楽の演奏の場所がしだいに教会から演奏会場へ移るのに伴って,本来の意味での受難曲は衰微し,代わってイエスの受難を題材としたオラトリオが主流を占めるようになった。バッハ以前の受難曲の聞きどころであった福音史家の力強いレチタティーボは消え失せて,感傷的で優美なアリアや合唱曲がはびこるのである。…

※「受難オラトリオ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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