喫水線(読み)キッスイセン

デジタル大辞泉 「喫水線」の意味・読み・例文・類語

きっすい‐せん【喫水線】

水面に浮いている船体の水面と接する線。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「喫水線」の意味・わかりやすい解説

喫水線
きっすいせん

船が水上に浮かんでいるときの水面と船体との交線をいう。船底の最下端から喫水線までの垂直距離を喫水draftといい、喫水線から乾舷甲板(かんげんこうはん)の上面までの垂直距離を乾舷(フリーボードfreeboard)という。乾舷甲板は普通上甲板であるが、船によってはその下の甲板のものもある。喫水は船首船尾の2か所、または大型船では中央部を加えた3か所で測り、それぞれ船首喫水、船尾喫水、中央部喫水という。喫水計測のため、これらの場所の両舷側には喫水を示す目盛りがついており、これを喫水標(喫水マークdraft mark)という。喫水標は、高さ10センチメートルの算用数字を20センチメートルごとに描き、各数字の下端が、その数字が示す喫水線と一致するようになっている。

 速力、強度、復原力など船の諸性能は、喫水の大きさによってさまざまに変化する。したがって、喫水は操船者にとって重要な基本的情報の一つであり、出入港ごとに計測され、喫水に応じた操船が行われる。また荷役に際して適切な計量設備がない場合は、積込み前後の喫水差から貨物重量を計算する方法により運送料金が決定されることもある。

[森田知治]

満載喫水線

船は喫水が大きくなりすぎると転覆しやすくなり、また船の上へ波が打ち込みやすくなる。このような危険な状態を避け、安全運航を確保するため、1930年(昭和5)に国際満載喫水線条約が締結された。この条約では、個々の船の形態や構造に応じた満載喫水線、すなわち喫水線の最高限度を統一的に定め、いかなる場合も船の喫水をこれ以上深くしないことを加盟各国が申し合わせた。

[森田知治]

フリーボードマーク

満載喫水線を表示する標識をフリーボードマークfreeboard markといい、船の中央部の両舷側に表示することになっている。満載喫水線は、世界の海面帯域や季節によって異なる大きさが定められ、鍵(かぎ)形の横線で示される。夏季満載喫水線(S)は、標準の満載喫水線で、の左側の円環の中心を通る横線でも示される。その上のJ、Gは日本国政府が検査して認定したということを示し、Japanese Governmentの略。

[森田知治]

『運輸省船舶局検査測度課編『国際満載喫水線条約 1966年』(1981・日本造船振興財団)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「喫水線」の意味・わかりやすい解説

喫水線
きっすいせん
waterline

吃水線。船舶が水に浮いているときの,船底から水面までの垂直距離を喫水という。荷物を積めば積むほど,喫水線は上甲板すれすれまで近づくが,ある限度以上積込むと船の復原力がなくなり,危険である。このため 1930年に国際満載喫水線条約が締結され,物を積んで遠洋,近海区域を航行する 150総t以上の船は,すべてこれ以上荷物を積んではいけないという満載喫水線を船腹に標示することになっている。満載喫水線は予備浮力,船体の強度,波浪の抵抗などを考えて計算し,決定される。 (→乾舷 )

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