国東(読み)くにさき

精選版 日本国語大辞典 「国東」の意味・読み・例文・類語

くにさき【国東】

大分県の北東部、国東(くにさき)半島にあった郡。古くは国前、国埼とも記し、弘安年間(一二七八‐八八)以降、国東に統一された。明治一一年(一八七八)東国東・西国東の二郡に分かれた。〔豊後風土記(732‐739頃)〕

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デジタル大辞泉 「国東」の意味・読み・例文・類語

くにさき【国東】

大分県国東半島東半を占める市。丘陵地が多く柑橘類の栽培が盛ん。電子機器の工場も多く進出している。南部の埋め立て地に大分空港がある。平成18年(2006)3月に国見町国東町武蔵町安岐あき町が合併して成立。人口3.2万(2010)。

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改訂新版 世界大百科事典 「国東」の意味・わかりやすい解説

国東[市] (くにさき)

大分県北東部,国東半島東部にある市。2006年3月安岐(あき),国東,国見(くにみ),武蔵(むさし)の4町が合体して成立した。人口3万2002(2010)。

国東市南西部の旧町。旧東国東郡所属。人口9974(2005)。国東半島南東部に位置する。北西端の両子(ふたご)山(720m)から南東へ山地が走り,中央部を安岐川が東流して伊予灘に注ぐ。安岐川下流に定期市の残る瀬戸田や下原があり,中心集落をなす。平たん地では米作,傾斜地ではミカン栽培が盛んで,七島藺(しちとうい),タバコなども産し,農業が主産業となっている。江戸中期の哲学者三浦梅園の旧宅(史),六郷満山の総持寺として栄えた天台宗両子寺があり,海岸北部に大分空港がある。

国東市中部の旧町。旧東国東郡所属。人口1万3031(2005)。国東半島東端に位置する。半島最高峰の両子山より,来浦川,富来川,田深川などの河川が東流して,伊予灘に注ぐ。田深川河口両岸の鶴川,田深が中心集落になっている。農業を主とし,米作のほか,イチゴ,メロンなどの施設園芸やミカン,キーウィフルーツの栽培が行われ,シイタケの生産も盛ん。漁業はノリやワカメの養殖が中心。重要文化財の泉福寺開山堂,岩戸寺国東塔のほか文殊仙寺神宮寺などの仏教文化財がある。安国寺遺跡をはじめとする遺跡も多い。

国東市北西部の旧町。旧東国東郡所属。人口5249(2005)。国東半島北端に位置する。南部山地より北流して周防灘に注ぐ竹田津川,伊美川,岐部川などの沿岸に水田が開かれ,集落が立地する。海岸一帯は屈曲の多いリアス海岸で,徳山市と結ぶ周防灘フェリーの発着する竹田津港,姫島との定期船がある伊美港をはじめ良港が多く,漁業や観光の基地となっている。農業では米,タバコ,シイタケなどを産するほか,1963年以来ミカン栽培に重点をおいている。六郷満山に関係する仏教史跡や文化財が多く,千灯寺跡,千灯石仏,別宮社国東塔などがある。また装飾古墳の鬼塚古墳(史)もある。

国東市南部の旧町。旧東国東郡所属。人口5952(2005)。国東半島東部に位置し,東は伊予灘に面する。両子山の南東斜面を占め,中央部を武蔵川が東流して伊予灘に注ぐ。町名は,《和名抄》などに記される武蔵郷の名にちなむ。武蔵川河口に位置する中心集落の古市は,近世特産イグサで作るむしろなどの積出しでにぎわい,杵築(きつき)藩の米蔵が置かれた。町の南東端の海岸に1971年大分空港が開港し,工場誘致も進められて,第2次・第3次産業の就業者が増えている。農業は米作とミカン栽培が中心で,シイタケの生産量も多い。照恩寺国東塔は,重要文化財に指定された高さ2.5mの石塔で,正和5年(1316)の銘が刻まれている。このほか,国東半島の仏教文化を伝える文化財が多く,自然景観にも恵まれ,国東半島県立自然公園の一部を形成している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「国東」の意味・わかりやすい解説

国東
くにさき

大分県北東部、東(ひがし)国東郡にあった旧町名(国東町(まち))。現在は国東市の中央部東寄りにあたる地域。1894年(明治27)国崎村が町制施行して国東町と改称。1901年小原(おばら)村、1954年(昭和29)富来(とみく)、来浦(くのうら)の2町および上国崎(かみくにさき)村、豊崎(とよさき)村、旭日(あさひ)村(一部)と合併。2006年(平成18)国見(くにみ)、武蔵(むさし)、安岐(あき)の3町と合併して市制施行、国東市となった。旧町名は古代の郷名(ごうめい)による。海岸に国道213号が通じる。開析火山の国東半島東部放射谷底の米・タバコ作、放射山稜(さんりょう)やこれに続く段丘のミカン栽培が主産業。平安時代から鎌倉時代に六郷満山(ろくごうまんざん)の文化の中心として栄えた町で、1394年(応永1)建立の泉福寺開山堂(せんぷくじかいざんどう)、岩戸寺(いわとうじ)や鳴(なる)の長木家(ちょうぎけ)の国東塔は国指定重要文化財。文殊仙寺(もんじゅせんじ)は奇岩と大樹の茂みの中の古寺。黒津崎(くろつざき)海岸には国民休養地、いこいの村国東がある。

[兼子俊一]

『『国東町史』(1973・同書刊行会)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国東」の意味・わかりやすい解説

国東
くにさき

大分県北東部,国東市東部の旧町域。国東半島東部にある。1894年町制施行。1954年来浦町,富来町の 2町および上国崎村,豊崎村の 2村と合体。同年旭日村の一部を編入。2006年国見町,武蔵町,安岐町と合体して国東市となる。中心集落は鶴川。両子山や文殊山山腹の放射谷では米作,山稜の緩斜面から段丘面にかけてはミカンなど果樹栽培が行なわれる。沿岸漁業ではノリ,ワカメが中心。1984年県北国東テクノポリス地域に指定されて以来,電子関連の先端産業の進出が著しい。国の重要文化財の泉福寺開山堂,仏殿および岩戸寺宝塔(国東塔)をはじめ,安国寺集落遺跡(国の史跡),文殊仙寺,狐塚古墳など文化財に富む。また,岩戸寺と成仏寺で 1年交代で行なわれる修正鬼会は国の重要無形民俗文化財。両子山山頂付近は瀬戸内海国立公園に,その周辺および海岸美で知られる黒津崎など海岸の大部分は国東半島県立自然公園に属する。

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