土手(読み)どて

精選版 日本国語大辞典 「土手」の意味・読み・例文・類語

ど‐て【土手】

[1] 〘名〙
① 川などがあふれて田地や家屋に流入するのを防ぐために、土を小高く積み上げて築いた長い堤。堤。堤防。〔羅葡日辞書(1595)〕
浄瑠璃・大経師昔暦(1715)中「名残おしさに立とまり、小だかき土手にのびあがり、二人見送る影法師」
城郭土塀(どべい)土居。築地(ついじ)
※就弓馬儀大概聞書(1464)「どての広さ五尺なく候へば、弓射られず候也」
③ 鮪(まぐろ)、鰹(かつお)など、大きな魚の背の部分の切り身。
※雑俳・柳多留‐二一(1786)「此どてはいくらだとねぎさげて居る」
④ 歯の抜け落ちたあとの歯茎(はぐき)
※雑俳・柳多留‐四八(1809)「章魚鮑土手を迯げたりむぐったり」
陰阜(いんぷ)または大陰唇をいう俗語
※雑俳・伊勢冠付(1772‐1817)「人間のわく池・ムックリト両側の土手」
⑥ 駕籠屋・車夫仲間の隠語
(イ) 一銭をいう。〔隠語輯覧(1915)〕
(ロ) 一〇銭をいう。
※落語・素人人力(1893)〈三代目三遊亭円遊〉「『符牒抔(なぞ)を知ってますかい』『整然(ちゃあ)んと覚えました。ゲンコ(五銭)、ドテ(拾銭)、ヤリ(廿五銭)、ヲイ先(はな)ア切って呉れ、てへ様な事を云ふんでげす』」
(ハ) 八銭をいう。〔新しき用語の泉(1921)〕
[2] 江戸新吉原の大門(おおもん)口に行く手前山谷堀(さんやぼり)の堤をいう。日本堤。吉原土手。
浮世草子西鶴置土産(1693)四「土手(トテ)の闇がりを帰るに、揚屋の男を三人につれて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「土手」の意味・読み・例文・類語

ど‐て【土手】


風水害を防ぐために、川岸に土を積み上げて築いた堤。
平地より一段と高く築いた、道路・軌道用の堤。
城郭の土塀。土居どい築地ついじ
カツオ・マグロなどの背側の身。
歯の抜け落ちたあとの、歯ぐき
陰阜いんぷ
江戸新吉原の手前の堤のこと。日本堤。吉原土手。
[類語](1堤防突堤・堤塘・防波堤

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の土手の言及

【堤防】より

…洪水時に河川が平地にはんらんして人家や耕地などに被害を与えることのないように,または舟運や利水のために水路を固定させる目的で,川を一定の河道の中で流れるようにする構造物。堤(つつみ)とも呼ばれ,土でつくった堤防を土堤または土手という。堤防には人工的なもののほか,自然に形成されるものもあり,自然状態にある河川のはんらんによって,上流から運ばれてきた土砂が河岸沿いに堆積し,背後地より若干高くなったところを自然堤防という。…

※「土手」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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