日本大百科全書(ニッポニカ) 「増田渉」の意味・わかりやすい解説
増田渉
ますだわたる
(1903―1977)
中国文学者。島根県生まれ。東京帝国大学支那(しな)文学科に在学中、佐藤春夫の知遇を得、卒業後の1931年に上海(シャンハイ)へ渡航、晩年の魯迅(ろじん)から小説集や『中国小説史略』の講解を受けた。帰国後、「魯迅伝」、春夫との共訳『魯迅選集』(1935)、『中国小説史略』の邦訳(1935)を公刊、以後中国の近・現代文学の研究紹介に従事し、中国文学研究会の長老としても重きをなした。小説史研究や日中文化交渉史にも終生関心を抱き続けた。第二次世界大戦後は大阪市立大学、関西大学などの講壇に立ち、著作に『魯迅の印象』(1948)、『中国文学史研究』(1967。岩波書店)、『西学東漸と中国事情』(1979。岩波書店)などがある。
[伊藤漱平]
『『魯迅の印象』(1970・角川書店)』