デジタル大辞泉 「夕顔」の意味・読み・例文・類語
ゆう‐がお〔ゆふがほ〕【夕顔】
2 ヨルガオの俗称。
[類語]瓜・真桑瓜・メロン・西瓜・烏瓜・瓢箪・
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
(1)能の曲名。三番目物。鬘物(かつらもの)。作者不明。シテは夕顔上(ゆうがおのうえ)の霊。旅の僧(ワキ)が京都の五条あたりを通ると,ある家から和歌を吟ずる声がする。僧が言葉をかけると,それは若い女性(前ジテ)で,ここは《源氏物語》に書かれた某(なにがし)の院の旧跡であると教える。女はさらに,夕顔上と光源氏が結ばれたときのことから,某の院に泊まった夜に,怨霊のたたりで夕顔上が突然死去したことを物語り,姿を消す(〈クセ〉)。その夜僧が読経をして弔うと,夕顔上の霊(後ジテ)が生前の姿で現れ,昔を追懐して舞を舞う(〈序ノ舞〉)。クセと序ノ舞が中心の曲で,はかない運命の主人公にふさわしく,清楚に作られている。
執筆者:横道 万里雄(2)地歌・箏曲の曲名。三弦は菊岡検校(1792-1847),箏は八重崎検校(1776?-1848)作曲の京風手事物。1814年(文化11)版《新大成糸の節》に初出。歌詞は《源氏物語》の〈夕顔〉巻を手短にまとめている。手事では虫の音すだく河原院の情景を描写し,また,後に夕顔が物の怪のためにはかなくなってしまうできごとをも暗示している。大曲ではないが,手事が印象的。
執筆者:久保田 敏子
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