大田垣蓮月(読み)おおたがきれんげつ

精選版 日本国語大辞典 「大田垣蓮月」の意味・読み・例文・類語

おおたがき‐れんげつ【大田垣蓮月】

江戸末期の女流歌人。本名誠(のぶ)。京都に生まれる。夫と子に死に別れてから尼となり、手づくりの陶器に自詠の歌を書いて、生活の資とした。歌風は流麗で繊細。家集海人刈藻」。蓮月尼寛政三~明治八年(一七九一‐一八七五

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デジタル大辞泉 「大田垣蓮月」の意味・読み・例文・類語

おおたがき‐れんげつ〔おほたがき‐〕【大田垣蓮月】

[1791~1875]江戸後期の女流歌人。京都の人。名はのぶ。夫の没後、尼となり、法名蓮月を名乗る。陶器を作り、自詠の歌を書いて生活の資としたという。歌集海人あま刈藻かるも」がある。蓮月尼。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大田垣蓮月」の意味・わかりやすい解説

大田垣蓮月
おおたがきれんげつ
(1791―1875)

江戸末期から明治初期の歌人。寛政(かんせい)3年1月8日京都に生まれる。名は誠(のぶ)、蓮月は法名。実父は伊賀(いが)上野(三重県)の城代家老藤堂新七郎良聖(とうどうしんしちろうよしきよ)、養父は知恩院の坊官大田垣伴左衛門光古(てるひさ)。7、8歳で丹波(たんば)亀山(かめやま)(亀岡)城主松平家に奉公。のち光古の養子望古(もちひさ)と結婚したが、のち離別。1819年(文政2)光古の養子古肥(ひさとし)と再婚。蓮月33歳のとき、古肥が病死したので剃髪(ていはつ)。東山真葛(まくず)が原、洛東(らくとう)の岡崎、聖護院(しょうごいん)村、方広寺大仏のそば、北白川の心性寺、西賀茂村などに転住し、西賀茂の神光院(じんこういん)で明治8年12月10日、85歳で没した。その間、自詠の歌を彫った陶器をつくり、蓮月焼として世に知られた。若年から歌道に親しみ、上田秋成(あきなり)、香川景樹(かげき)に教えを受け、六人部是香(むとべよしか)に入門。歌風は平明温雅で、家集に『海人の刈藻(あまのかるも)』がある。高畠式部(たかばたけしきぶ)と並んで幕末京都女流歌人の代表。富岡鉄斎も若年のときに彼女の庵居(あんきょ)に遊び、また橘曙覧(たちばなあけみ)、野村望東尼(もとに)などと交わりがあった。

[宗政五十緒]

 はらはらと落つる木の葉にまじりきて栗(くり)の実ひとり土に声あり

『村上素道編『蓮月尼全集』全1巻(1927・同書頒布会/増補復刻・1980・思文閣出版)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大田垣蓮月」の意味・わかりやすい解説

大田垣蓮月
おおたがきれんげつ

[生]寛政3(1791).1.8. 京都
[没]1875.12.10. 京都
江戸時代末期の歌人。本名,誠 (のぶ) 。幕末の女流歌人として野村望東尼と並び称される。父は伊賀上野の藤堂金七郎,母は京都三本木の女性といわれる。生後 10日余で知恩院寺侍大田垣光古の養女となった。 33歳の年2度目の夫古肥 (ひさとし) と死別。剃髪して蓮月尼と称した。子供に先立たれ,42歳で父を失い,清貧,孤独な生涯をおくった。父の死後,陶器を作り,自詠を書入れたものが人気を得たが,売上げは貧者に施した。小沢蘆庵に私淑,勤王家六人部是香 (むとべよしか) に入門。橘曙覧 (あけみ) と親交があり,富岡鉄斎をわが子のようにかわいがった。和歌は平明な叙景歌が得意で,書画,なぎなた,囲碁にも長じた。家集『海人 (あま) の刈藻』 (1870) がある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「大田垣蓮月」の解説

大田垣蓮月 おおたがき-れんげつ

1791-1875 江戸後期-明治時代の歌人。
寛政3年1月8日生まれ。京都知恩院の寺侍大田垣光古(てるひさ)の養女。2度むかえた夫や子供らに先だたれ文政6年出家,蓮月尼と称した。自分の歌をほりこんだ陶器蓮月焼で知られる。和歌は上田秋成,六人部是香(むとべ-よしか)にまなんだという。明治8年12月10日死去。85歳。京都出身。本姓は藤堂。名は誠(のぶ)。家集に「海人の刈藻(かるも)」。
【格言など】ねがはくはのちの蓮(はちす)の花のうへにくもらぬ月をみるよしもがな(辞世)

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百科事典マイペディア 「大田垣蓮月」の意味・わかりやすい解説

大田垣蓮月【おおたがきれんげつ】

幕末の歌人。名は誠(のぶ)。京都の生れ。夫をはじめ肉親を次々に失い出家。蓮月尼(れんげつに)と通称される。自詠の歌を書いた陶器を焼いて生活の資とし,清廉孤高の生涯を送った。女性らしい繊細な叙景歌が多く,野村望東尼(もとに)と並ぶ幕末の代表的女性歌人。家集《海人の刈藻(あまのかるも)》。

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