太平寺(読み)たいへいじ

日本歴史地名大系 「太平寺」の解説

太平寺
たいへいじ

[現在地名]豊橋市老津町

村域の南方に位置する。長松山と号し、臨済宗妙心寺派。本尊東光薬師如来。長松山由来記(当寺蔵)によると、嘉応年中(一一六九―七一)の創立で、初め真言宗であったが、衰退したのを延元年中(一三三六―四〇)禅宗の僧峯翁祖一が再興したという。田原戸田氏の庇護が厚かったが、戸田氏が今川氏に降った後、臨済りんざい(現静岡県静岡市)の開祖太原崇孚(雪斎)の献言によって鎌倉建長寺派から京都妙心寺派に変わったとある。

天文五年(一五三六)の戸田宗光安堵状(当寺蔵)に「渥美郡大津郷大平寺之事、不入相定候」とあり、同一三年の戸田尭光安堵状(当寺蔵)にも太平寺に対する不入が確認されている。

太平寺
たいへいじ

[現在地名]厳原町中村

中村なかむら館跡の北、清水しみず山の東麓にある。安楽山と号し、曹洞宗。本尊は釈迦如来。康安元年(一三六一)守護少弐頼尚が筑前早良さわら檜原ひはら(現福岡市西区)に建立した寺院を前身とするという。貞治六年(一三六七)少弐氏の命で対馬地頭宗経茂の代官中村宗香(仁位宗香)が当地に移建、地蔵菩薩を大宰府から奉遷したと伝える。境内の地蔵堂に安置の南北朝期作とされる地蔵菩薩はこの所伝の本尊とみられ、仏師奈良方堪勝による同年作とする木札がある。

太平寺
たいへいじ

[現在地名]中村市右山元町一丁目

中村の市街地の南端近い山手にある。臨済宗妙心寺派、神護山福寿院と号し、本尊地蔵菩薩。寛政五年(一七九三)没の一九世宝林の筆になる過去帳(当寺蔵)に、文和年間(一三五二―五六)境内桂珠庵の庵主性公尼によって開基され、伊予国照源寺の大仙を迎えて開山としたとあり、さらに性公尼の開基について次のような伝説を記す。

<資料は省略されています>

天文年間(一五三二―五五)一条房基が当寺を修理したと伝えるが、一条氏は軍事的にも重視したらしく、土壁に矢狭間を残しており、出城的な役割をもたせたらしい。

太平寺
たいへいじ

[現在地名]烏山町滝

川右岸にあり、滝尾山正眼院と号し天台宗。本尊は室町期の作とされる千手観音(県指定文化財)。古くは泰平寺と記したといい、また江川東方下流にかかる竜門りゆうもん滝にちなみたき寺とも称された。寺伝によれば延暦年間(七八二―八〇六)坂上田村麻呂による開基、嘉祥年間(八四八―八五一)円仁の開山という。中世、烏山城主那須氏の信仰が深かったとみえ、「那須記」には千手観音の仏力によって那須氏を戦勝に導いたとする記事などが散見する。天正一三年(一五八五)と推定される一二月八日の那須資晴書状(平沼伊兵衛氏所蔵文書)によれば、那須資晴は同日夜「滝寺」において千本氏を追討することを福原・大関・大田原三兄弟に命じ、興野尾張には後詰を命じている。

太平寺
たいへいじ

[現在地名]昭和区川名本町四丁目

護邦山と号し、曹洞宗。本尊薬師如来坐像。御器所ごきそ竜興りゆうこう寺の末寺であった。寺伝によれば、元亀年中(一五七〇―七三)佐久間権平の開基で、卍室長吉を開山とすると伝えるが、「尾張志」は享禄年間(一五二八―三二)の創建という。宝永六年(一七〇九)活堂により再建された(徇行記)

太平寺
たいへいじ

[現在地名]世羅西町小国

美波羅みはら川に南面する山麓にあり、小国おぐにの町並の北に位置。興国山と号し、臨済宗妙心寺派、本尊は釈迦如来。もとは東北方の字大坪おおつぼにあったといい、古くは大平寺と書く。寺伝によると応安五年(一三七二)八月、僧恵超の開基で、明和九年(一七七二)四月、七世心月如意再興といい、「芸藩通志」に明応一〇年(一五〇一)僧真派の開基で宍戸河内成頼(法名太平院殿河州大守乾興道貞大居士)が建立とあるのは、現在地に移したことをさすと考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「太平寺」の意味・わかりやすい解説

太平寺
たいへいじ

滋賀県甲賀市にある臨済宗東福寺派の寺。延徳3 (1491) 年に勝益により開山されたといわれる。寺宝の長屋王発願大般若経 142帖は,常明寺所蔵のものと同じものの一部で国宝。近くにある臨済宗東福寺派の見性庵 (けんしょうあん) も 43帖を所有し,重要文化財に指定されている。

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