安全審査(読み)あんぜんしんさ

知恵蔵 「安全審査」の解説

安全審査

原子力施設を建設する、運転に入る、改造する、解体・廃止するなど、節目節目で監督官庁が実施する審査。安全性が確保されているか否かを判断する。商用原発の場合は、経済産業省と原子力安全委員会がダブルチェックする。電力会社は建設を計画すると環境影響調査書を経済産業省に提出する。同省は第一次公開ヒアリングを開いてから総合資源エネルギー調査会電源開発分科会にかける。ここでの決定には建設予定地の知事の同意が必要である。決定されると電源開発基本計画に組み込まれ、「建設準備中」となる。次いで原子炉設置許可申請(既存の発電所内に増設するときは変更許可申請)が経産省に提出される。経産省は総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の意見を聞いて審査する(一次審査)。問題なしと判断すれば、原子力安全委員会に諮問する。安全委は、原子炉安全専門審査会で審査するとともに、地元で第二次公開ヒアリングを開催する。安全委の審査は、基本設計について書類で審査指針に適合しているかどうかを評価する(二次審査)。その後も、工事計画、工事着手後、運転開始、の各段階で経産省が審査や検査を行い、許可や合格などを出す。経産省の安全審査や規制実務は原子力安全・保安院が担当する。研究炉の審査は文部科学省が行う。商業運転開始後の定期検査などは電力会社が行うが、2002年に発覚した東京電力一連のトラブル隠しの後、事業者の検査を監督するための独立行政法人原子力安全基盤機構が03年10月、400人体制で発足した。

(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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