宝冠章(読み)ホウカンショウ

デジタル大辞泉 「宝冠章」の意味・読み・例文・類語

ほうかん‐しょう〔ホウクワンシヤウ〕【宝冠章】

女性に授与される勲章の一。明治21年(1888)制定宝冠大綬章ほうかんだいじゅしょう宝冠牡丹章ほうかんぼたんしょう宝冠白蝶章ほうかんしろちょうしょう宝冠藤花章ほうかんとうかしょう宝冠杏葉章ほうかんきょうようしょう宝冠波光章ほうかんはこうしょうの6等級がある。
[補説]制定時は、旭日章男性宝冠章が女性を対象とした勲章だったが、平成15年(2003)より男女ともに旭日章の対象となった。そのため現在では、宝冠章は皇室の女性や外国人への儀礼叙勲など特別な事例にのみに適用される。

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精選版 日本国語大辞典 「宝冠章」の意味・読み・例文・類語

ほうかん‐しょう ホウクヮンシャウ【宝冠章】

〘名〙 勲章の一種勲功のある女性に授与されるもので勲一等から八等まであったが、平成一五年(二〇〇三)の賞勲制度の改定で、外国人に対する儀礼叙勲等特別な場合に授与されるものとなった。明治二一年(一八八八)制定。〔勲章等級製式及大勲位菊花章頸飾製式(明治二一年)(1888)〕

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勲章・褒章がわかる事典 「宝冠章」の解説

ほうかんしょう【宝冠章】

日本の勲章の一種。1888年(明治21)に「勲章増設ノ詔」が発せられ、瑞宝章(ずいほうしょう)とともに制定された。1875年に日本初の勲章として男性対象の旭日章(きょくじつしょう)が制定されていたが、諸外国に比べ勲章の種類が少ないことが不都合となり、新たに女性を対象とする宝冠章と、同じ等級のなかでは旭日章、宝冠章よりランクが下の瑞宝章が加えられた。宝冠章は初め勲一等から勲五等だったが、1896年に勲六等~勲八等までが追加され、旭日章、瑞宝章と同様、8等級になった。第二次世界大戦後の生存者叙勲の一時停止をのぞき、同じ性格と等級で続いてきたが、2002年(平成14)8月の閣議決定栄典制度改革について」により、等級は6つに整理され、勲一等などの数字は廃止された。また、それまでの名称は勲一等宝冠章というように、頭に勲等がつくものだったが、6段階の名称を、新しく宝冠大綬章、宝冠牡丹(ぼたん)章、宝冠白蝶(しろちょう)章、宝冠藤花(とうか)章、宝冠杏葉(きょうよう)章、宝冠波光(はこう)章とした。ただし、旭日章、瑞宝章とも同格で男女共通になったことから、宝冠章は特別な場合に用いられる勲章となり、一般の叙勲では運用されないことになった。特別な場合とは、日本の女性皇族への叙勲(宝冠牡丹章以上)、外国人女性賓客への儀礼叙勲である。正章の意匠(いしょう)は、古代女帝朝廷儀式で用いていたという宝冠の図柄で、女帝の冠を縦長の楕円に配し、竹枝が両脇を囲んでいる。また宝冠大綬章から5番目の宝冠杏葉章までは、楕円と外輪の縁どりに天然真珠を用いている。

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百科事典マイペディア 「宝冠章」の意味・わかりやすい解説

宝冠章【ほうかんしょう】

勲章の一種。功労ある婦人に授与される。1888年制定。勲一等〜勲八等の8階級に分けられる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宝冠章」の意味・わかりやすい解説

宝冠章
ほうかんしょう

栄典制度」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の宝冠章の言及

【位階勲等】より

…それが明治維新時に二十階,1889年に一位から八位までそれぞれ正従に分かれて十六階と定められ,1926年の位階令に受けつがれていく。勲章は1875年の旭日章を皮切りに,翌年の〈勲等勲章〉に基づいて大勲位菊花章,宝冠章(婦人のみが対象となった),瑞宝章と定められた。位階は皇族以外の日本人に授与された。…

【勲章】より

… ついで,明治憲法体制の仕上げ期にあたる88年1月,これまでの勲章の制度に対して,〈茲ニ復潤飾増設シ新旧与ニ併行シ勲功アル者ヲ賞旌シ以テ奨励ノ道ヲ拡ム〉とする〈勲章増設ノ詔〉が発せられ,勅令第1号により,以下の勲章がもうけられた。(1)宝冠(ほうかん)章(勲一等~勲五等,のち勲六等~勲八等追加。勲労ある婦人に授与),(2)勲一等旭日桐花大綬章(旭日大綬章の上位とする),(3)瑞宝(ずいほう)章(勲一等~勲八等,1919年から婦人にも授与),(4)大勲位菊花章頸飾(大勲位の者に特別に賜う)である。…

※「宝冠章」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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