(読み)なだめる

精選版 日本国語大辞典 「宥」の意味・読み・例文・類語

なだ・める【宥】

〘他マ下一〙 なだ・む 〘他マ下二〙 なだらかにする意。抽象的・精神的な内容に関して用いられる。
① 罪あるいは罪人を、穏やかに取り扱う。寛大な取り扱いをする。許す。
※続日本紀‐宝亀三年(772)三月二日・宣命「兔(ゆる)し賜ひ奈太毎(ナダメ)賜ひて遠流(をんる)の罪に治め賜はくと宣ふ」
※寸鉄録(1606)「過ちを宥むるには大とするなく、故あるを刑するには小とするなし」
② ある人の行為について、それを憤慨している他の人の心を穏やかにするように計らう。とりなす。調停する。
※東大寺本大般涅槃経平安後期点(1050頃)一九「意を寛(ナタメ)て愁ふること莫れ」
平家(13C前)四「太政入道やうやうになだめ給へば、山門の大衆しづまりぬ」
③ 人の心・精神状態などを穏やかな状態にする。和らげる。静める。
※大唐西域記長寛元年点(1163)五「世尊慰(ナダメ)て曰く、教化労(いたづ)けるかな」
※あらくれ(1915)〈徳田秋声〉一四「何かぶつくさ言ってゐる母親を和(ナダ)めてゐるらしかったが」
物事を、和らげて整える。
梁塵秘抄口伝集(12C後)一〇「娑羅林も習ひたるままになだむる所無くて」

なだま・る【宥】

〘自ラ四〙 なだらかになる。なごやかになる。平穏になる。のどまる。
太平記(14C後)一二雨止(やみ)風静て、神忿(かみのいかり)も忽に宥(ナダマ)り給ぬと見へければ」

なだ・む【宥】

〘他マ下二〙 ⇒なだめる(宥)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「宥」の意味・読み・例文・類語

ゆう【宥】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ユウ(イウ)(漢) [訓]ゆるす なだめる
大目に見て許す。「宥恕寛宥
なだめる。「宥和
[名のり]すけ・ひろ・ゆたか

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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