島物(読み)シマモノ

デジタル大辞泉 「島物」の意味・読み・例文・類語

しま‐もの【島物】

南方諸島から渡来したもの。特に、天文(1532~1555)以後渡ってきた美術品をいう。茶入れ・茶壺に多い。
出所素性などが不明なもの。えたいの知れないもの。
「その曲ふし平家とも舞とも謡とも知れぬ―なり」〈仮・東海道名所記・六〉

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精選版 日本国語大辞典 「島物」の意味・読み・例文・類語

しま‐もの【島物】

〘名〙
① (「しま」は南方の島の意) 室町時代以降、呂宋(ルソン)・安南・暹羅(シャム)などの南方の国々から渡来した陶器、美術品。唐物や高麗物以外の舶載品をいい、茶道具の茶入れ、茶壺(ちゃつぼ)水差しなどに多い。
※松屋会記‐久重茶会記・慶長一三年(1608)七月三〇日「せと肩衝、薬くろく、肩はる、尻ほそき也〈略〉今は嶋物と云」
② 出所、素姓などのはっきりわからないもの。えたいの知れない人やもの。また、奇異で珍しいものをいう。
仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)六「その曲節(くせぶし)、平家とも、舞とも、謡ともしれぬ島者なり」

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世界大百科事典(旧版)内の島物の言及

【縞】より

…中国では〈しま〉に当たる言葉として〈柳条〉〈条布〉〈間布〉などが用いられ,日本でも中世には〈筋〉〈隔子〉などの名で散見される(《庭訓往来》)。〈しま〉という名称は近世に入って,南蛮船によってもたらされた織物に筋文様の織物が多く,これを称して〈島物〉とか〈島渡り〉といったことに始まると考えられる。事実,間道(かんとう)や唐桟(とうざん)をはじめ,ベンガラ縞,セイラス縞など,近世初頭から江戸時代を通じて珍重された縞物は,いずれも舶載品(島渡り)であり,またこれらが日本における近世の縞,ことに竪縞の発達にきわめて大きな影響を与えたことはいうまでもない。…

※「島物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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