差別関税(読み)サベツカンゼイ(英語表記)differential duties

デジタル大辞泉 「差別関税」の意味・読み・例文・類語

さべつ‐かんぜい〔‐クワンゼイ〕【差別関税】

特定商品、または特定の国からの輸入について、通常税率とは異なる税率を適用する関税。割増関税と割引関税に大別され、前者報復関税相殺関税ダンピング関税後者特恵関税などがある。

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精選版 日本国語大辞典 「差別関税」の意味・読み・例文・類語

さべつ‐かんぜい ‥クヮンゼイ【差別関税】

〘名〙 輸入貨物の産出国や商品の種類などに応じて一般税率とは異なる税率を課す関税。割増関税と割引関税とに大別され、前者には報復関税、補償関税、相殺関税、ダンピング防止関税など、後者には特恵関税、互恵関税などがある。〔袖珍新聞語辞典(1919)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「差別関税」の意味・わかりやすい解説

差別関税
さべつかんぜい
differential duties

輸入の相手国や輸入価格あるいは輸入方法の違いによって、例外的に一般税率とは異なる税率を差別的に適用する関税をいう。これには、一般税率より低い税率を適用する場合と、高い税率を適用する場合とがある。具体的には、前者に特恵関税があり、後者に報復関税、相殺関税、ダンピング(不当廉売)防止関税などがある。

 特恵関税には、イギリス連邦間特恵関税のように旧植民地と旧宗主国でグループを形成し、相互に特恵を供与しあうものや、開発途上国の開発や輸出促進を目的に、途上国からの輸入品に対して先進国が一般より低い税率の特恵関税を供与する一般特恵関税や後発開発途上国向けにさらに低い税率の特別特恵措置がある。報復関税は、一国がある国から第三国よりも不利な取扱いを受けた場合、その国からの輸入品に対して報復的に割高な関税を賦課する場合をいう。相殺関税は、輸出国が補助金や奨励金を交付することで輸出価格を不当に低くして輸入国の産業に損害を及ぼした場合、補助金などの効果を相殺するために賦課するものである。ダンピング防止関税も相殺関税の一種で、輸入品の不当な安売りから国内産業を保護するために割増し課税を行う。

 こうした関税は、特定の場合の例外として発動されるもので、WTO世界貿易機関)加盟国間では、差別的な関税を禁じ無差別を原則としている。

[秋山憲治]

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百科事典マイペディア 「差別関税」の意味・わかりやすい解説

差別関税【さべつかんぜい】

広義には,特定の場合に特定の国や貨物に対して一般の関税率と違った関税率を適用する関税をさすが,狭義には,このうち一般税率より高い税率で課す場合をいう。政治的な目的の場合(特恵関税),報復のための報復関税,輸出奨励金ダンピングの効果を相殺するための相殺関税,不当廉売関税などがある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「差別関税」の意味・わかりやすい解説

差別関税
さべつかんぜい
differential duties

輸入する貨物の原産地や輸入方法などによって一般の貨物とは区別された税率を適用する関税。割増関税と割引関税とに大別され,前者には報復関税,ダンピング関税,相殺関税などがあり,後者には特恵関税,互恵関税などがある。

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